彼女、実はかなり売れっ子のスタジオ・ミュージシャン。歌だけでなく作詞、作曲の仕事もこなしている。誰もが耳にしたことがあるだろう大手企業のCMも多数、アニメ・ソング、ゲーム音楽なども多く手掛けている。『ギルティ・クラウン』というアニメの挿入歌を歌っているのも彼女なのだそうだ。

「子供の頃からずっと歌っていました。曲は12歳から作っていました。好きなアーティストはピンク、アラニス・モリセット。オルタナティブ・ロックが好きです。最近はアデル、エイミー・ワインハウスも好きです。特にアラニス・モリセットからは影響を受けました。言葉の使い方がとても個性的」

 他のメンバー3人揃って彼女の才能を絶賛している。決して身内の贔屓目ではない。美しいメロディを作る才能、言葉を紡ぐセンス、透明感のある歌声、どれをとっても素晴らしい。

「薫さんとは7、8年前から顔見知りで、ウェディングの仕事で一緒に歌っていたりしました。仲良くなったのはここ3年くらい。一緒にやっていてとても楽しい」

 と、伏し目がちに話す姿はアメリカ人らしからぬ印象。とても人見知りですごくシャイな性格なのだそうだ。

「作曲のインスピレーションは、人生のハプニングからとか、男性とのトラブルとか(笑)。悲しいときが一番いい曲ができます。でも悲しい曲が多いので、楽しい曲を作るようにがんばってます。何より私は人が大好きだから、友達や多くの人から影響を受けます」

 驚いたのは、上は13歳から下は5歳まで、4人の娘さんを持つ母でもあるということ。母親業をしながらのスタジオ・ミュージシャンもこなし、その上でこのHarp & Soulである。

「すごく忙しいです」

 そりゃそうでしょう。でもそんな中でも、Harp & Soulのリハーサル(エイミーさんの自宅でおこなわれるとのこと)では食事を作ったりもされているらしく、他のメンバー全員の胃袋まで満足させてしまっているとのこと。

 最後に実際にライブを観て、聴いて、本当に感動しました。そのハーモニーたるや、美しいだけでなく力強さを伴っていて、耳だけでなく体で感じるパワーがある。グループ名に偽りなし。HARPのこの上なく美しい響きとSOULを全身で感じられる歌声を堪能できる。YouTubeにライブの動画がアップされているのだが、実際にライブを聴いてしまうとちょっと物足りない。是非一度観に、聴きに行くことをおすすめします。

右端のチェロ奏者は、サポート・メンバーの佐野まゆみさん
  • 出演:Harp & Soul

    2012年に結成された女性4人からなるインディー/ポップユニット。自分たちの好きな音楽を演奏したいという想いで集まり、ライブハウスやイベントなどで演奏するようになった。シンガー・ソングライターのエイミー・ブラックシュレガーはCMやゲーム、アニメの挿入歌などを多く手がけてきた実力派ミュージシャン。彼女が作る歌は想像を超えるユニークな歌詞と美しいメロディが特徴で、新しい曲を披露するたびにメンバーが涙ぐんでしまうほど。キャリ・ダンカンはその並外れた深くソウルフルな歌声で、ライブやイベントでお客さんのハートを掴んできたシンガー。パーカッショニストのギサッペは13歳からドラムをたたいて来た、ロック畑出身のドラマーで、このユニットではペルー音楽発祥のカホンという箱形ドラムを叩いてハートビートを作っている。最後にハープの新井薫はグランドハープおよびアイリッシュハープを使ってこのHarp & Soul独特の色合いと雰囲気を作り上げている。
    初のアルバム『Lemongrass』が7月26日にリリースされたばかり。タワーレコード渋谷店、銀座・山野楽器で購入可能。詳しくはホームページまで。

    オフィシャル・ウェブ・サイト http://harpandsoul.jimdo.com/
    フェイスブック・ページ https://www.facebook.com/harpandsoultokyo

取材・文:横田一郎
撮影:萩庭桂太