Sharoは友人と一緒に、柏の駅前で歌い始めた。

「毎週土曜日。カラオケでマイクもなしにふたりで歌うんです。ミュージカルの歌も歌ったけど、今ひとつ人の集まりが悪い。そんなあるとき、『おねえちゃんたち、ピンクレディー歌えないの?』と言われたので、思い切って歌ってみたら、これが実にウケました。そのとき、自分たちが歌いたいものとお客さんが聴きたいものはどうも違うようだとわかったんです。それで、メニューリストを作って、リクエストをもらって歌ったりするようにもなりました」

 そのうち、毎週来てくれるファンも現れた。下手だけど一緒にハモろうとする人も出始めた。差し入れをくれる人もいた。

「そんなことを続けているうちに、今の事務所のスタッフに声をかけられたのがきっかけで、プロダクションに入ることになったんです。それが一昨年の秋です」

 以前登場してくれたサックス奏者の横田寛之さんも事務所の人と路上で出会っている。路上というのは、ひょっとすると最高のプロモーションエリアなのではないかと思えてくる。

 彼女の撮影は、彼女が以前歌っていたという路上と同じ場所で行われた。

「久しぶりに常磐線に乗って柏の駅前で歌っているところを撮影してもらっているうちに、『こっちを見て!』と必死に願いを込めて歌っていた、あの頃の感じを思い出しました」

 Sharoの大きな目がきらきら輝いていた。

  • 出演:Sharo

    福岡県生まれ。早稲田大学在学中に東宝ミュージカルアカデミーのオーディションに合格、第1期生に。その後、ライブ活動を始め、役者、タレント活動へとフィールドを広げる。9月3日に渋谷マウントレイニアホールでライブを開催。株式会社スタッフ・アップ所属。
    プロフィール http://www.staff-up.net
    公式ブログ http://ameblo.jp/sharoblog/

  • 取材・文:森 綾

    大阪市生まれ。スポニチ大阪文化部記者、FM802開局時の編成部員を経て、92年に上京後、現在に至るまで1500人以上の有名人のインタビューを手がける。自著には『マルイチ』(マガジンハウス)、『キティの涙』(集英社)(台湾版は『KITTY的眼涙』布克文化)など、女性の生き方についてのノンフィクション、エッセイが多い。タレント本のプロデュースも多く、ゲッターズ飯田の『ボーダーを着る女は95%モテない』『チョココロネが好きな女は95%エロい』(マガジンハウス)がヒット中。
    ブログ「森綾のおとなあやや日記」 http://blogs.yahoo.co.jp/dtjwy810

ヘアメイク:宮内直人 http://www.sugar-makeup.com
撮影:萩庭桂太