ソリストグループ『ESCOLTA』に
田代万里生
- Magazine ID: 1266
- Posted: 2013.05.29
音楽科(声楽専攻)のある公立高校を卒業後、東京芸大へ。高校時代にもオペレッタの舞台に立ったことがあったが、大学在学中に東京室内歌劇場公演オペラ『欲望という名の電車』で本格的オペラ・デビューを果たした。
「でも、オペラ歌手としては10、20代はひよっこ。30代半ばでスタートラインという感じ。早く40歳になりたい、と思いましたね」
2006年、大学を卒業して半年後に、新たなチャンスがやって来た。在学中にお世話になったオペラの大学講師が、レコード会社主催のあるオーディションがあるからと持ちかけてくれたのだ。
「テノールで追加募集があるんだけど、と。それがソリストグループ『ESCOLTA』結成のオーディションだったんです。テノール、バリトン、ポップスと様々なジャンルの歌手で歌う。クラシカルクロスオーバー、という感じかな。びっくりしたのは、マイクを使ったことです。今までは大劇場でも生で響くような舞台語発音でやっていましたから。オーディション自体は、歌声はもちろん、協調性や互いの相性まで見られるくらいの長いものでした」
合格したのは田代のほか、ポップスの結城安浩、バリトンの吉武大地。現在は7年目で、定期的にコンサートを開催、CDも発売。着実にリピートしてくれるファンを増やしている。
実際に聴いてみた。よくクラシックの発声でポップスを歌ったりするとちょっと気持ち悪く聴こえたりするものだが、彼らの表現は気持ちがいい。きっと声楽の技術に寄り切らない表現方法を自然に確立しているのだなと思った。そう、3人とも、言葉を歌っている。演技力があるのである。
「クラシックの良さをもっと知ってもらいたい。その最初の扉にもなりたいし、逆にクラシックの世界からも応援したいと思っていただけるようなグループでありたいです」
今や「3歳から一緒に過ごしてきたのかと思うほど」気の合った3人。
「お互いにリスペクトできるって大事ですよね。ぼくらはよく言われる『音楽的方向性の違いで』という理由で解散することはないと思いますよ(笑)」
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出演:田代万里生
1984年長崎県生まれ、埼玉育ち。東京芸術大学音楽学部声楽科テノール専攻卒業。埼玉県立大宮光陵高校音楽科声楽専攻(テノール)卒業。ピアノ講師である母のもとで3歳からピアノを学び、いくつかの楽器を経て15歳から声楽の道へ。大学在学中に本格オペラデビューし、2007年にソリストグループ「ESCOLTA」(エスコルタ)でCDデビュー、定期的にコンサートを行っている。7月17日にはミニアルバム『ひとつの空』を発売。2009年からはミュージカルにも多数進出し、好評を得る。6月5~6日、Bunkamura オーチャードホールで開催される『ワイルドホーン・メロディーズ』にも出演する。
公式ブログ http://ameblo.jp/mario-capriccio/ -
取材・文:森 綾
大阪市生まれ。スポニチ大阪文化部記者、FM802開局時の編成部員を経て、92年に上京後、現在に至るまで1500人以上の有名人のインタビューを手がける。自著には『マルイチ』(マガジンハウス)、『キティの涙』(集英社)(台湾版は『KITTY的眼涙』布克文化)など、女性の生き方についてのノンフィクション、エッセイが多い。タレント本のプロデュースも多く、ゲッターズ飯田の『ボーダーを着る女は95%モテない』『チョココロネが好きな女は95%エロい』(マガジンハウス)がヒット中。
ブログ「森綾のおとなあやや日記」 http://blogs.yahoo.co.jp/dtjwy810
ヘアメイク:藤井康弘 http://www.yasumakeup.com/
撮影:萩庭桂太