役を生きる集中力
濱田めぐみ
- Magazine ID: 1260
- Posted: 2013.05.17
4月25日。東京・天王洲銀河劇場で濱田めぐみの2ndソロコンサートの初日が開いた。タイトルは『Rouge』。情熱、革命といった言葉を彷彿とさせる色に、今歌いたいミュージューカルナンバーの数々を込める。
『カルメン』から『Viva』。移籍後のデビューとなった『ボニー&クライド』から『Dyin’ Ain’t So Bad』。白いパンツルックから後半の真っ赤なドレスへと、会場は熱くなっていった。
演出したのは小林香さん。濱田めぐみはどんな女優なのか、聴いてみた。
「濱田めぐみさんのすごさは一つの役を生きる集中力ですね。稽古中に何度も『感謝します』と嬉しそうに言いながらも『早く千秋楽を迎えたい』と5、6回ため息をついていました。そのくらい、真剣に入り込んでしまうんでしょうね。その集中力は1曲1曲にも表れていて、数分毎に人格まで変わっていく。一人の人間がこんなにひとつのことに打ち込めるのかと感心しました」
彼女の集中力を生かすため、なるべくよけいな演出をしないことを心がけたと言う。
「演出家は作り込んでいくことで安心感を得ようとすることが多いです。でもそうではなく、私は何もしないようにと頑張りました。彼女に余計な装飾はいりません」
真っ赤なドレスは、いくつもの役の衣装になった。『エビータ』から『Don’t Cry For Me Argentina』。『レ・ミゼラブル』から『On My Own』、そして『I Dreamed A Dream』。歌うとは演じることで、演じるとはその役を生きること。
舞台の上で、彼女のあの目力が語っていた。その輝きが観客を掴み、ものすごい拍手を引き出すのを、目の当たりにした。
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出演:濱田めぐみ
1972年福岡県生まれ。95年に劇団四季オーディションに合格、3カ月後に『美女と野獣』ヒロインでデビュー。以降、初演『ライオンキング』、初演『アイーダ』、初演『ウィキッド』でもヒロインに。2010年に退団。2012年『ボニー&クライド』で舞台復帰。同年初のソロコンサートは5分で完売。6月にはBunkamuraオーチャードホール『ワイルドホーン・メロディーズ』、7月には帝国劇場『二都物語』に出演する。
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取材・文:森 綾
大阪市生まれ。スポニチ大阪文化部記者、FM802開局時の編成部員を経て、92年に上京後、現在に至るまで1500人以上の有名人のインタビューを手がける。自著には『マルイチ』(マガジンハウス)、『キティの涙』(集英社)(台湾版は『KITTY的眼涙』布克文化)など、女性の生き方についてのノンフィクション、エッセイが多い。タレント本のプロデュースも多く、ゲッターズ飯田の『ボーダーを着る女は95%モテない』『チョココロネが好きな女は95%エロい』(マガジンハウス)がヒット中。
ブログ「森綾のおとなあやや日記」 http://blogs.yahoo.co.jp/dtjwy810
撮影:萩庭桂太