4月1日から、NHK「ラジオ深夜便」のテーマソングが加藤登紀子さんのニューシングル曲『過ぎし日のラブレター』になった。

「今年はラブソングにしようと思うの。みんなが愛に飢えていると思うし、心が乾き過ぎていると思うから。熱いふわっとした気持ちが必要でしょう。歌というのはそういう気持ちにさせてくれるものでもあるし」

 被災地各所にも何度も赴いている。そこでのたくさんの出会いも彼女をそんな気持ちにさせるのだろう。

「寒いところでこらえて私の一言一句を漏らさず聴いてくださる姿を見ていると、それを求めている気持ちと、そこにある一瞬の呼吸の嘘も見逃さないという気持ちを感じます。本当に失った人たちは、ゼロから始めるという、ある種の清々しさをもっているんですよね。古いしきたりや因縁も同時に捨て去って、毎日毎日、前だけを向いて生きている。そこにある心根の高さにうたれます。そういう人たちの前で歌わせてもらって、その心に応えようとするけれど、かえって教えられるばかりです。歌うことが本当に大事になりました」

  • 出演:加藤登紀子

    1943年、旧満州ハルビン生まれ。終戦後帰国し、京都で育つ。東京大学在学中に第2回日本アマチュアシャンソンコンクールに優勝し、翌年プロデビュー。1971年『知床旅情』が大ヒットし、人気シンガーとなるが、72年に当時学生活動家だった藤本敏夫と獄中結婚して世間を驚かせる。3人の娘を育てつつ、数々のヒット曲を世に送り、映画『居酒屋兆治』などでは女優としても活躍。環境問題や親善大使など活動は多岐に渡り、世界各国を歌い歩く。2013年7月には恒例のBunkamura 等々、各地でのコンサートが決まっている。4月1日、ニューシングル『過ぎし日のラブレター』発売。
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  • 出演:Yae

    12月14日 東京生まれ。故藤本敏夫・歌手加藤登紀子の次女。この日は登紀子さんとFM東京の番組を収録中だった。1995年、ポーランドのホロコーストを描いた音楽劇「コルチャック先生」の歌手役に抜擢され、役者として生まれて初めて舞台に立ち、歌声を披露。2001年、ポニーキャニオンから「new Aeon」でデビュー。現在は、二児の母となり家族と共に千葉県にある自然豊かな「鴨川自然王国」で、農も取り入れたスローライフを送りながら、今までの経験を生かし、ライブ中心に活動し、様々なアートとのコラボレーションや海外のミュージシャンとの演奏活動も、全世界的に活動を広めていこうとしている。
    http://www.yaenet.com/

  • 取材・文:森 綾

    大阪市生まれ。スポニチ大阪文化部記者、FM802開局時の編成部員を経て、92年に上京後、現在に至るまで1500人以上の有名人のインタビューを手がける。自著には『マルイチ』(マガジンハウス)、『キティの涙』(集英社)(台湾版は『KITTY的眼涙』布克文化)など、女性の生き方についてのノンフィクション、エッセイが多い。タレント本のプロデュースも多く、ゲッターズ飯田の『ボーダーを着る女は95%モテない』『チョココロネが好きな女は95%エロい』(マガジンハウス)がヒット中。
    ブログ「森綾のおとなあやや日記」 http://blogs.yahoo.co.jp/dtjwy810

撮影:萩庭桂太