黒部菜々佳はまだまだどうなるのかわからない、固まらないプリンみたいな存在である。そんな彼女が初めて映画に初主演する。新人監督が撮った『雫』という、家族愛をテーマにした短編映画で、この春から順次イベントで公開される予定だ。

「私も初めてだし、監督も学生で初めての作品。でもアメリカでカメラの修行をして、自ら交渉して優秀なスタッフを集めた人なんです。試行錯誤の数カ月で、まだ出来上がったものを見ていないんですが、楽しみですね」

 映画をつくる、という過程全部が楽しかったと興奮気味に語る。

「映像に映る出演者以外に、カメラの人がいて、照明の人がいて、ヘアメイクさんがいてと、たくさんの人が必死に頑張って仕事をしている。それを全部ひっくるめて映画なんですよね。ものづくり、って私は始めたばかりなんだけど、すでにもう、それを止められない人の気持ちがわかってしまいました。つらいとか苦しいとかいう感情を見つめ直すことも含めて、楽しかったです」

 今また、次のインディーズ映画の撮影に入っている。

「今度はいろいろと演技をつけてくださるタイプの監督ですね。色んなスタッフと仕事をしていくなかで、自分も柔軟になっていかないと、と思っています」

 柔軟に、というところでちょっと笑ってしまった。

 彼女の性格は頑固なのか、流されやすいのか。聴けば聴くほどわからなくなる。そうだなあ。まずは柔軟に、ごく自然にごく普通の、恋愛をしてみてほしい、かも。

  • 出演:黒部菜々佳

    1989年東京都生まれ。13歳からモデルとして活動し、2012年、学習院大学在学中に準ミスインターナショナルジャパンに選ばれる。現在、東宝芸能に所属。初主演映画『雫』がこの春、東京イタリア文化会館などで公開される。
    問い合わせ先・東宝芸能(tel: 03-3504-0789 mail: nagano@toho-ent.co.jp

  • 取材・文:森 綾

    大阪市生まれ。スポニチ大阪文化部記者、FM802開局時の編成部員を経て、92年に上京後、現在に至るまで1500人以上の有名人のインタビューを手がける。自著には『マルイチ』(マガジンハウス)、『キティの涙』(集英社)(台湾版は『KITTY的眼涙』布克文化)など、女性の生き方についてのノンフィクション、エッセイが多い。タレント本のプロデュースも多く、ゲッターズ飯田の『ボーダーを着る女は95%モテない』『チョココロネが好きな女は95%エロい』(マガジンハウス)がヒット中。
    ブログ「森綾のおとなあやや日記」 http://blogs.yahoo.co.jp/dtjwy810

撮影:萩庭桂太