芸能界へ憧れる一方で、ずっと気になる言葉があった。それは社会の授業で学んだ憲法9条「戦争の放棄」だった。

「そうか、憲法9条というものがあるから、日本は平和でいられるんだ。なんていいことなんだろう。じゃ、世界全体が戦争を放棄したらいいじゃないか、と強く思ったんです。それから平和ということについてすごく考えるようになりました」

 そのことが、あの世界的美女を発掘するオーディションには大いに生きた。

 ミスインターナショナルである。

「選考基準に『世界平和を目指す美しい人』と書いてあって、これだ! と思ったんです。これでミスに選ばれて世の中に広く知名度が上がったら、きっと私が『戦争を放棄しよう』と訴えればみんなが耳を傾けてくれるんじゃないか。そう思って応募書類を書いていると、なぜだかポロポロ涙が出てきて、母は私がおかしくなったんじゃないかと心配したみたいでした」

 結果、彼女は2012年度の準ミスインターナショナルジャパンに選ばれた。

「これからも問題提起することをやっていきたいんです。政治、女性の人権、動物愛護……。答えの出ない問題っていっぱいあって、でも話し合われることすらあまりなかったりするでしょう? 私はみんなでいっぱい話し合うべきだと思う。そういうことを投げかけるために、知名度が欲しい。だから女優になってさらに芸能活動を続けていきたいんです」

 あまりにも大きな挑戦だが、手を差し伸べる人は一人、二人と現れつつある。

 おそらく彼女は自分が発していることの途方もない大きさを自分ではまだ把握しきれていないのだろうが、発することを止めないでほしいなと思わせてくれるのだった。

  • 出演:黒部菜々佳

    1989年東京都生まれ。13歳からモデルとして活動し、2012年、学習院大学在学中に準ミスインターナショナルジャパンに選ばれる。現在、東宝芸能に所属。初主演映画『雫』がこの春、東京イタリア文化会館などで公開される。
    問い合わせ先・東宝芸能(tel: 03-3504-0789 mail: nagano@toho-ent.co.jp

  • 取材・文:森 綾

    大阪市生まれ。スポニチ大阪文化部記者、FM802開局時の編成部員を経て、92年に上京後、現在に至るまで1500人以上の有名人のインタビューを手がける。自著には『マルイチ』(マガジンハウス)、『キティの涙』(集英社)(台湾版は『KITTY的眼涙』布克文化)など、女性の生き方についてのノンフィクション、エッセイが多い。タレント本のプロデュースも多く、ゲッターズ飯田の『ボーダーを着る女は95%モテない』『チョココロネが好きな女は95%エロい』(マガジンハウス)がヒット中。
    ブログ「森綾のおとなあやや日記」 http://blogs.yahoo.co.jp/dtjwy810

撮影:萩庭桂太