彼女にとって何もかもが机上の空論なのではなく、ひとつずつ関わろうとする姿勢はある。実際、家で飼っているのは保護犬が2匹。

「リコとピヨ。リコは飼い主が保健所に自ら持ち込んだイヌでした。そういうイヌは一般的には公表されることなく殺されてしまうんだけれど、たまたま保護犬の運動をしている人たちがそこにいて『まだ1歳なのに』と連れてきたらしいんです。どうも虐待されていたようで、うちに来たばかりの頃は、興奮すると私の腕の柔らかいところをチクッと噛みました。1年ぐらいで落ち着いて今は大人しくなりましたけど。ピヨは飼い主が倒産か何かで駐車場に手紙と5000円と一緒に取り残されていた犬だったんです」

 犬といる彼女はさらに無邪気に、子どものままの笑顔をする。

「私はどんなときもストレスを感じることがないんです。一日中、アリの巣を見て過ごせるくらい」

 そう言って、あはは、とまた笑った。

  • 出演:黒部菜々佳

    1989年東京都生まれ。13歳からモデルとして活動し、2012年、学習院大学在学中に準ミスインターナショナルジャパンに選ばれる。現在、東宝芸能に所属。初主演映画『雫』がこの春、東京イタリア文化会館などで公開される。
    問い合わせ先・東宝芸能(tel: 03-3504-0789 mail: nagano@toho-ent.co.jp

  • 取材・文:森 綾

    大阪市生まれ。スポニチ大阪文化部記者、FM802開局時の編成部員を経て、92年に上京後、現在に至るまで1500人以上の有名人のインタビューを手がける。自著には『マルイチ』(マガジンハウス)、『キティの涙』(集英社)(台湾版は『KITTY的眼涙』布克文化)など、女性の生き方についてのノンフィクション、エッセイが多い。タレント本のプロデュースも多く、ゲッターズ飯田の『ボーダーを着る女は95%モテない』『チョココロネが好きな女は95%エロい』(マガジンハウス)がヒット中。
    ブログ「森綾のおとなあやや日記」 http://blogs.yahoo.co.jp/dtjwy810

撮影:萩庭桂太