『エヴァンゲリオン』がひとつのきっかけ
YOHIO
- Magazine ID: 1222
- Posted: 2013.02.27
YOHIOの完璧な日本語も、そのファッションも、もとはと言えば、アニメで覚えたのだという。
「初めて見た日本のアニメは4歳のときの『ポケットモンスター』。でもスウェーデン語の吹き替え版だったので、それを日本のアニメだとは思っていなかったんです。9歳頃から日本のアニメをいろいろと見るようになりました。一番影響を受けたのは『エヴァンゲリオン』かもしれません。CMのキャッチコピーに『世界一面白い』と出ていて、まさかと思ったのですが、見る度に別の何かを見つけ、どんどんはまっていきました」
『エヴァンゲリオン』は日本のアニメの中でも、最もと言っていいほど難解だと私は思う。無理やりロボットに乗せられてみんなのために嫌々闘い始める主人公なんて他にいない。要するに物語は理不尽から始まるのだ。幼かったYOHIOはそれをどんなふうに捉えたのだろう。
「なんだかわからないけど、怖い。怖いけど魅かれる、という感じでした。ロボットだけど肉体を感じさせるような設定、父親にひどい仕打ちをされながらもそれに向かっていく主人公が心を壊していく様子。……作者もお父さんとの関係性において、葛藤したことがあったのかもしれませんね。映像にせよ、音楽にせよ、強烈な実体験がないと強烈な物語は作れないものです」
YOHIO自身、今回のアルバムは日本語で歌詞を自作している。そこには何か強烈な体験はあったのだろうか。
「そんなにひどい体験はしていないけど、そういう話や報道から、歌詞を考えることがあります。強烈な感情をもったところから、書くようにしているんです。まだラブソングはあまりありません」
こんなに美しい両性具有的生き物に、そんなひどい体験をさせたくはないなあと思えてくる。でもひどい体験をしたらどうなるのかしら、とも、また思えてくる、私はワルいおばさんなのであった。
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出演:YOHIO
1995年、スウェーデン生まれ。性別・男。6歳からピアノを、11歳からギターを始め、14歳でヴィジュアル系バンドSeremedyを結成。2010年に初ライブを行い、女のコのようなドレス姿でギターを弾く姿が人気に。2011年3月、同バンドでヴィジュアル系最大のフェス「V-ROCK FESTIVAL’11」のオープニングアクトを務める。2012年4月にはソロデビュー。ソロでの人気も鰻上りで、2013年4月24日、ユニバーサルインターナショナルから初のフルアルバム『BREAK the BORDER』をリリースする。
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取材・文:森 綾
大阪市生まれ。スポニチ大阪文化部記者、FM802開局時の編成部員を経て、92年に上京後、現在に至るまで1500人以上の有名人のインタビューを手がける。自著には『マルイチ』(マガジンハウス)、『キティの涙』(集英社)(台湾版は『KITTY的眼涙』布克文化)など、女性の生き方についてのノンフィクション、エッセイが多い。タレント本のプロデュースも多く、ゲッターズ飯田の『ボーダーを着る女は95%モテない』『チョココロネが好きな女は95%エロい』(マガジンハウス)がヒット中。
ブログ「森綾のおとなあやや日記」 http://blogs.yahoo.co.jp/dtjwy810
撮影:萩庭桂太