ホセ・ジェイムズは今まで何度も日本に来たことがある。訪れるたびに心に刻まれるものがあると、心酔している。

「今まで日本を訪れて、桜の時期が二度あった。行く場所行く場所に桜が咲いていました。その花を楽しめるのは本当に短い。そのことひとつとっても、ぼくにはとてもミステリアスな感じがしますね」

 今回の撮影でも、最も行きたい場所は神社だと言った。この撮影後、録音のためにビクタースタジオに入る予定だと言うので、その近所の、鳩森八幡神社に行くことになった。萩庭桂太は昔この近くに住んでいたことがあるそうで、神社の境内について熟知していた。

「あそこにある岩でできた山を登ると、富士山に登ったことになるんですよ」

 かなり急な場所もあったが、ホセは嬉しそうに登っていった。そして清々しい顔をして降りてきた。お参りをする前に、白いシャツに着替え、手を清める姿は日本人以上に日本人らしかった。両手を清めた後、柄杓を立てて残った水で柄を洗う作法まで知っていた。

「すべての宗教に関係なく、祈るものを受け止めてくれる日本の神社は素晴らしい存在だと思います」

 そう言って、神社を出るときにはまた着替えた白いシャツを、丁寧にたたんでいた。

  • 出演:ホセ・ジェイムズ

    アメリカ、ミネソタ州生まれ。高校まではヒップホップにはまっていたが、ラジオのジャズステーションに感化され、ジャズ・シンガーを志す。NYのニュースクール大学に通う。2006年、ロンドンで行われた国際ジャズコンペティションに参加。名DJ/プロデューサーのジャイルス・ピーターソンに出会い、07年、ブラウンズレーベルと契約。08年に『The Dreamer』でデビュー。1月16日、EMI(ブルーノートレーベル)から『No Beginning No End』が日本で発売に。2月14、15日はビルボードライヴ東京でのライブも予定されている。
    http://emimusic.jp/artist/josejames/
    http://www.josejamesmusic.com

  • 取材・文:森 綾

    大阪市生まれ。スポニチ大阪文化部記者、FM802開局時の編成部員を経て、92年に上京後、現在に至るまで1500人以上の有名人のインタビューを手がける。自著には『マルイチ』(マガジンハウス)、『キティの涙』(集英社)(台湾版は『KITTY的眼涙』布克文化)など、女性の生き方についてのノンフィクション、エッセイが多い。タレント本のプロデュースも多く、ゲッターズ飯田の『ボーダーを着る女は95%モテない』『チョココロネが好きな女は95%エロい』(マガジンハウス)がヒット中。
    ブログ「森綾のおとなあやや日記」 http://blogs.yahoo.co.jp/dtjwy810

撮影:萩庭桂太