相当若いな、と思ったら、中別府葵はまだ21歳だという。

 しかしプロフィールには映画やドラマの出演歴が並ぶ。どうやら中学3年生のときにホリプロタレントスカウトキャラバンで最終審査まで残り、高校1年生で上京したらしい。

「芸能界に興味はあったんですけど、田舎に住んでいたからどうやって芸能人になるのかなり方がわからなくて」

 その年はたまたま、ホリプロタレントスカウトキャラバン30回記念。ホリプロは書類審査なしで地方のあちこちに人を集める形のオーディションを開催したのだった。それでも、普通なら九州地区に行くとしても福岡のみなのに、ホリプロの人たちが熊本まで行ったのも何かの縁だったのかもしれない。

「書類審査があったら出さなかったと思うんですけど、行けばよかったんで。みんなすごかったですよ。歌ったり踊ったり自己アピールできる人ばかり。『すっごいなあ』って、私はぼーっとしてました」

 しかしぼーっとしている姿が異彩を放っていた。なんといってもすくすく育った長い手足と、すれていない明るい笑顔が。 

「芸能人になれなくても、いつか熊本から出ようと思っていたんです。だって、何もないもの。周囲はみんな酪農業でした。私が生まれる前までは家にも馬、羊、豚、牛を飼っていたみたい。子どもの頃、友達の家で乳搾りしていました。牛乳大好きです!」

 なるほど、やっぱり牛乳飲むと、大きくなるのか。

  • 出演:中別府葵

    1990年熊本県生まれ。血液型A型。172センチの長身で演技にモデルにと活躍する女優。08年にテレビ東京のドラマ24「ウォーキン☆バタフライ」で初主演し、その存在感が話題を集める。その後、テレビや映画に出演、今年3~4月、日比谷・シアタークリエなどで上演された白井晃演出『幻蝶』では、ストリッパー役を好演した。9月には東京・天王洲の銀河劇場『ハイスクール歌劇団☆男組』にも出演する。
    http://horipro.co.jp/talent/PF097/

  • 取材・文:森 綾

    1964年8月21日大阪市生まれ。スポニチ大阪文化部記者、FM802開局時の編成部員を経て、92年に上京後、現在に至るまで1200人以上の有名人のインタビューを手がける。自著には女性の生き方についてのノンフィクションが多い。『キティの涙』(集英社)の台湾版は『KITTY的眼涙』(布克文化)の書名で現在ベストセラー中。
    http://blogs.yahoo.co.jp/dtjwy810

撮影:萩庭桂太