6月20日(水)に『セレステ』でアルバムデビューするサラ オレインだが、実はすでにファンがたくさんいる。

 彼女は、アルバムの収録曲「タイム・トラヴェラーズ」のエンディングテーマのほかにも、任天堂Wiiのゲームソフト「ゼノブレイド」のエンディングテーマ「ビヨンド・ザ・スカイ」や、スクエア・エニックス発売のiPhone向けRPG「ケイオスリングス オメガ」のテーマソングを担当しているのだ。

 ゲーム界ではすでにアイドルなのである。

 単純な発想で申し訳ないけれど、ゲーム音楽と言えばオタクのファンが多い気がする。サラに聞くと、実際にすでにオタクのファンに支えられているらしい。オタク系のリスナーを持つというのは、どんな心境なのだろう。彼らは、サラのアルバムを1人1枚とは言わず、鑑賞用と保存用で、2枚、3枚は買ってくれそうだ。

「日本に留学して大学に行っていた頃、私の周りにはゲームやアニメ好きの男の子がたくさんいました。彼らは卒業後もいいお友達です」

 オタクがたくさんいる大学って、どこ?

「東京大学です」

 えー! 東大に留学していたの! じゃあ、さぞかし偏差値の高いオタクだったのでしょうね。彼らは、今、サラのファンになってくれているんだ。

「はい。在学中から私の音楽活動を支援してくれています」

 それは心強い。

「すごく心強いです。皆さんは横のつながりが強いので、私の情報も口コミでどんどん伝えてくれるんです。とっても感謝しています」

 だったら、ジャケットも3種類作ってしまえないいいのに。彼らならば、全種類買ってくれるはず。

「いくらなんでも、そこまでは甘えられません」

 叱られた。どうやらオタクの方々への愛情は深いらしい。彼らはサポートするのが喜びだから、甘えれば甘えるほど喜んでくれる……とは思うのだが。

「いえいえいえ。そういうわけにはいきません」

 また、「いえいえいえ」と、手をひらひらさせる。「いえいえいえ」は日本人のお母さんの口癖だったのかな。ふと思った。

【後編】 留学時代はモテまくり?

『セレステ』 2012.06.20発売

Blu-ray付限定盤【左】 3,675円(税込) UCCY-9014
通常版【右】 2,854円 (税込) UCCY-1025
http://www.sarahalainn.net/discography.html

  • 出演:サラ オレイン

    1986年オーストラリア生まれのシンガーソングライターでヴァイオリン奏者。子どもの頃からヴァイオリンで国内のコンクールで優勝を重ね、シドニー音楽院に入学。2006年にはシドニー大学に入学し、2008年に東京大学に留学。英語、日本語、イタリア語に堪能なことから、留学時よりコピーライターの仕事に携わる。2010年にシドニー大学を首席で卒業した後、日本での音楽活動をスタート。任天堂Wiiのゲームソフト『ゼノブレイド』やスクウェアエニックスのiPhone向けRPG『ケイオスリングス オメガ』の音楽を担当。6月20日(水)にシンガーソングライター&ヴァイオリン奏者としてのデビューアルバム『セレステ』をリリース(ユニバーサルミュージック)。7月27日(金)に神奈川県の葉山マリーナで開催される「真夏の夜のJAZZ」に出演。11月9日(金)には東京恵比寿ガーデンホールでデビューコンサートが決定。
    翻訳家としても、越野民雄著『オレ・ダレ』(講談社刊)の英語版『Who? Me?』の翻訳を担当した。

    デビューコンサートの詳細 http://www.sarahalainn.net/news/concert/01.html#top01
    オフィシャルサイト http://www.sarahalainn.net/
    公式facebook http://www.facebook.com/sarahalainn.net

  • 取材・文:神舘和典

    1962年東京都出身。音楽を中心に書籍や雑誌のコラムを執筆。ミュージシャンのインタビューは年間約70本。コンサート取材は年間約80本。1998年~2000年はニューヨークを拠点にその当時生きていたジャズミュージシャンのほとんどにインタビューを行った。『ジャズの鉄板50枚+α』『音楽ライターが、書けなかった話』(以上新潮新書)、『25人の偉大なジャズメンが語る名盤・名言・名演奏』(幻冬舎新書)、『上原ひろみ サマーレインの彼方』(幻冬舎文庫)など著書多数。

    新潮新書 http://www.shinchosha.co.jp/writer/1456/
    幻冬舎新書 http://www.gentosha.co.jp/book/b4920.html
    幻冬舎文庫 http://www.gentosha.co.jp/book/b4157.html

撮影:萩庭桂太