台湾初日は7人くらいインタビューした気がする。もはや朦朧としていて、何がなんだかわからなかったのだが、話を聞くうちに、ぼんやりとひとつの事実が浮かび上がってきた。

 それは、日本、韓国とは別に、アジアでは中国語圏のなかでアーティストが行き交い、大きなビジネスが成立しているということだ。中国と台湾は、これまで国交がなかった時期はあったものの、ことエンタテインメントに関してはずっと交流が行われてきた。特に2011年6月に中国人の台湾への個人旅行が約50年ぶりに解禁になってからは、その交流はますます盛んになっているようなのである。

 中国語ができれば、日本の芸能人は一気にその活躍の場をメガ級にすることが可能なのだ。

 今回、萩庭桂太が過去に日本で撮影していて再会を楽しみにしていた大久保麻梨子も、中国語を学んで中国語圏内のエンタテインメントに挑戦しようとしている女優だ。

 大久保麻梨子は現在27歳。つい最近まで日本ではGカップの巨乳グラドルであった。知的で少女っぽい風貌とのギャップでかなり人気もあった。しかし去年の5月、突然台湾に移り住むことを決める。さては台湾のイケメンでも追いかけてしまったのだろうか。

「いいえ、一人です! 台湾に住みたくて」

 きっぱり。なんでも一昨年、4日間の初めての台湾ツアーで「住んでみたい」と思い、日本の事務所を説得し、現地の事務所に飛び込んだのだという。

「日本で仕事をしていてそれなりに楽しかったけど『何に向かって仕事しているんだろう』と、目標を見失いかけていたんです。そんなときにまず中国語にちょっと興味をもったんですね。それで台湾に行く前に中国語の本を買い、少し練習したんです」

 実際に台湾でしゃべってみたが、簡単に通じるものでもない。それでも一生懸命しゃべると、現地の人は一生懸命理解しようとしてくれた。

「日本語をわかってくれる人も多いし、外国人に対して本当にやさしい。人のやさしさというものを久々に感じた気がしたんです」

(取材・文:森 綾)

【後編】 「私、東日本大震災のときは、日本にいたんです」

  • 出演:大久保麻梨子

    1984年9月7日に長崎県佐世保市生まれ。兵庫県で大学時代までを過ごす。2003年に神戸市内でスカウトされてデビュー。同年、三洋物産主催の「Sea Story Audition 2003 マリンちゃんを探せ!!」でグランプリに。グラビアアイドルとして本格デビュー。テレビでは、バラエティ番組やドラマに出演したが、2008年にグラビアアイドルを引退し、女優への転身を表明。2011年より台湾へ移住し、所属事務所も台湾の事務所に移る。
    http://ameblo.jp/marilog0907/

  • 取材・文:森 綾

    1964年8月21日大阪市生まれ。スポニチ大阪文化部記者、FM802開局時の編成部員を経て92年に上京後、現在に至るまで1200人以上の有名人のインタビューを手がける。自著には女性の生き方についてのノンフィクション『キティの涙』(集英社)、『マルイチ』(マガジンハウス)など多数。
    映画『音楽人』(主演・桐谷美玲、佐野和眞)の原作となったケータイ小説『音楽人1988』も執筆するほか、現在ヒット中の『ボーダーを着る女は95%モテない』(著者ゲッターズ飯田、マガジンハウス)など構成した有名人本の発売部数は累計100万部以上。
    http://blogs.yahoo.co.jp/dtjwy810

  • ヘアメイク:小鳥

    スタイリング:NYX

衣装協力:ARTIFACTS http://www.artifacts.com.tw
コーディネート・ブッキング:木山善豪(OFFICE303) http://www.office303.jp
協力:エバー航空 http://www.evaair.com/html/b2c/japanese/

撮影:萩庭桂太