彼女は福岡県に生まれるが、大学時代までを家族と兵庫県宝塚市で過ごし、単身東京で5年と、国内を転々としている経験もある。ひとっとび台湾での一人暮らしは、本人にとってあまり違和感がなさそうだ。

「最近、台湾人っぽくなってきたと言われるのですが、日本人らしさを失わないようにしたいと思います」

 マネージャーさんによると、彼女の顔は台湾では「日本人らしい美人」と言われることが多く、それに打ってつけのドラマ初主演の話が舞い込んだ。「壱電子」というインターネット配信による2時間ドラマ『内衣少女』。完成すれば12分ずつYouTubeにも上がり、日本にいても見られるようだ。彼女の役は台湾で下着のデザイナーとしてがんばる日本人という設定。

「台本はト書きも中国語。これを読み解くのが台詞より難しいんです。高雄で3週間ロケをしたんですが、こちらのスタッフはものすごくパワフルで、現場でどんどん状況が変わっていく。初めてのことばかりで、大変だったけど面白かったです」

 澄んだ瞳で彼女は熱心に語り続ける。

「台湾の人たちは熱いし、日本のことを太陽のように思っています。私、東日本大震災のときは、日本にいたんです。そうしたら台湾の友達たちが電話をくれて『私たちは何をしたらいい? 何ができるかな』と聞いてくるんですよ。こちらのテレビは一斉にすべてのチャンネルで日本を救うために寄付を集める番組をやっている、と。大統領夫妻と有名人が自分たちで電話をかけ、それを放映しながら寄付を募ったんですね。だからあれだけの義援金が集まったんです」

 そうか、台湾の人たちは国を挙げた特番を組んで義援金を集めてくれたのか。

 この話を聴いてようやく台湾に来てよかった、と私は思ったのだった。

 そして台湾と日本をつなぐ美女たちがもっともっと活躍してくれるようにと祈らずにはいられなかったのである。

 次週、まだまだ熱い美女たちが登場する。乞うご期待!

(取材・文:森 綾)

  • 出演:大久保麻梨子

    1984年9月7日に長崎県佐世保市生まれ。兵庫県で大学時代までを過ごす。2003年に神戸市内でスカウトされてデビュー。同年、三洋物産主催の「Sea Story Audition 2003 マリンちゃんを探せ!!」でグランプリに。グラビアアイドルとして本格デビュー。テレビでは、バラエティ番組やドラマに出演したが、2008年にグラビアアイドルを引退し、女優への転身を表明。2011年より台湾へ移住し、所属事務所も台湾の事務所に移る。
    http://ameblo.jp/marilog0907/

  • 取材・文:森 綾

    1964年8月21日大阪市生まれ。スポニチ大阪文化部記者、FM802開局時の編成部員を経て92年に上京後、現在に至るまで1200人以上の有名人のインタビューを手がける。自著には女性の生き方についてのノンフィクション『キティの涙』(集英社)、『マルイチ』(マガジンハウス)など多数。
    映画『音楽人』(主演・桐谷美玲、佐野和眞)の原作となったケータイ小説『音楽人1988』も執筆するほか、現在ヒット中の『ボーダーを着る女は95%モテない』(著者ゲッターズ飯田、マガジンハウス)など構成した有名人本の発売部数は累計100万部以上。
    http://blogs.yahoo.co.jp/dtjwy810

  • ヘアメイク:小鳥

    スタイリング:NYX

衣装協力:ARTIFACTS http://www.artifacts.com.tw
コーディネート・ブッキング:木山善豪(OFFICE303) http://www.office303.jp
協力:エバー航空 http://www.evaair.com/html/b2c/japanese/

撮影:萩庭桂太