夕刻、恵比寿や代官山を彷彿とさせる洒落た街に着いた。

「30代向けのお店が集まっている街です」

 コーディネーターのキヤマ君が説明してくれる。セレクトショップやカフェ、ギャラリーが並ぶさまは、ニューヨークのコロンバス通りあたりの雰囲気にも似ている。台湾というところはモノでも建築でも、趣をコピーするのがとても上手い。意を汲んだ模倣とでも言うべきか。

 いいなあ。お買い物したいなあ。私は歩きながら、まるで夢を見ているような気分でそう思う。どうやら次の撮影は、本屋で行うらしい。駅に近い大きな本屋は通り過ぎ、小さなお店が建ち並ぶ一角に、そこはあった。

「わ、カワイイ」

 雑貨屋さんと本屋が一緒になったようなその店は、なぜか新旧の日本語の本ばかりが所狭しと並ぶ。暮しの手帖社のレシピ本や、野口雨情の詩集など、立ち読みしているだけで1時間でも過ごせそうだ。聞けばオーナーが日本で買い集めたものらしい。台湾の人から見れば、今の日本の「ちょい懐かしい」感性が、ぴったりくるのかもしれない。古いものを大切にし、人を大事にし、会っている間は出来る限りのことをしようとする、濃やかな情のようなものが、彼らにはある。それはここ10数年で、私が出会った台湾の人たちに共通する気質だ。

 そんなことを考えてぼんやしていると、昼間の太陽が苦手そうな真っ白い肌の女の子がやってきた。

(取材・文:森 綾)

【後編】 CMでの台詞が台湾で流行語大賞に

  • 出演:瑤瑤(ヤオヤオ)

    本名は郭書瑤(グオ・シューヤオ)。1990年7月18日生まれ。司会者、モデル、歌手として活動。“台湾版ほしのあき”と呼ばれる。2007年、父親が心筋梗塞で亡くなった。瑤瑤は家計を助けるため飲食店でアルバイトを始めその後、2008年にモデルとして芸能界入り。「オタクキラー」として、オンラインゲームの「殺online」ではCMのキャラクターに採用され、アイドルとして一躍人気者となった。その童顔&アニメ声が人気の秘密ともいわれる。2009年にはSeedMusic(種子音楽)と契約し、『愛的抱抱』をリリースして歌手デビュー。3/13より出演ドラマが日本で上映!
    http://ja.wikipedia.org/wiki/郭書瑤

  • 取材・文:森 綾

    1964年8月21日大阪市生まれ。スポニチ大阪文化部記者、FM802開局時の編成部員を経て92年に上京後、現在に至るまで1200人以上の有名人のインタビューを手がける。自著には女性の生き方についてのノンフィクション『キティの涙』(集英社)、『マルイチ』(マガジンハウス)など多数。
    映画『音楽人』(主演・桐谷美玲、佐野和眞)の原作となったケータイ小説『音楽人1988』も執筆するほか、現在ヒット中の『ボーダーを着る女は95%モテない』(著者ゲッターズ飯田、マガジンハウス)など構成した有名人本の発売部数は累計100万部以上。
    http://blogs.yahoo.co.jp/dtjwy810

  • ヘアメイク:小鳥

    スタイリング:NYX

衣装協力:ARTIFACTS http://www.artifacts.com.tw
コーディネート・ブッキング:木山善豪(OFFICE303) http://www.office303.jp
協力:エバー航空 http://www.evaair.com/html/b2c/japanese/
ロケ地:東區(書店、カフェ)

撮影:萩庭桂太