4 学校の先生
萩本舞
- Magazine ID: 4104
- Posted: 2022.09.08
そのタイミングで、コロナ禍が始まった。
「渋谷のイベント全部中止、ということになったんです。これから渋谷ともっともっと関
わって、バリバリやっていくんだ、と思ったときにそういう流れになってしまった」
どうしよう? と思った次の瞬間、
「これは、教員免許を更新するタイミングかな、と思いました。教師になるのもひとつの
夢だったんです。教師もある意味、話す仕事、伝える仕事ですから」
教員免許は10年有効。更新するためにはいろいろな条件があり、そのひとつが教師にな
ること、だった。
「でも、公立の学校だと公務員になってしまうので、芸能の仕事はできなくなります。そ
こで私立の非常勤講師をめざして動き始めました。するとタイミング良く、すぐに面接が
決まり、すぐに採用されて、翌月には先生デビューしていました」
現在は某校の英語の非常勤講師。モデルとかラジオパーソナリティの活動は、生徒には
非公表、だけど。
「今はネットで調べれば情報が出てくるので、もしかしたらバレてます。でも、今まで問
題なくやってこれました。ありがたいです。」
やってみたら教職は、すっごく面白い仕事だとわかった。
「楽しいんです! 次はどうやったらもっと楽しくできるだろう? って、家に戻っても
あれこれ考えています。もうね、天職じゃないかと思うくらい(笑)」
実は彼女、子どもの頃は、勉強ができない子だったという。
「中学のとき、初めて受けた模試で偏差値48でした。でも、どうしても弓道の強豪校であ
る高校に行きたかった。そこは偏差値58から60で、塾でも学校の先生からも、無理だからあきらめろって言われました。でも絶対やりとげるから受験させてくれって、泣いて頼んで。半年後、偏差値を10くらいバーンと上げて、間に合って合格できたんです」
それって、地頭が良かった、とか?
「頭が良くなったわけじゃなくて、世界が見えるようになった感じです。テストの攻略法
が見えてきたというか、スポーツ感覚で勉強をくり返すうちに、点の取り方がわかった、
というか」
そういう先生なら、強い味方になってくれそう。
「はい、そういうことを伝えつつ、学校で学んだ知識を持って、これからみんな、何がし
たいの? っていうことを問いかけていきたいです。学校の先生って、もう自分のキャリ
アをつかみ取った勝者のように生徒たちからは見えているのかもしれないけれど。でも私
みたいに、自分のやりたいことをずっと追いかけ続けている大人もいるんだって伝えたい
。〝夢を追えない人は、夢を教えられない〟という言葉を大事にしています。だから私は
これからも前を見て、自分の好きなことをやり続けます」