5 人生の貯金
女優 西原亜希
- Magazine ID: 4085
- Posted: 2022.06.24

で、女優のお仕事は?
「もちろん、続けます! なんか、やっと、自分がどういうふうに生きて行きたいか、見えてきたような気がします。女優というお仕事は大好きだし、一生の仕事だと思っています。でも、それだけがすべてでは、ないかもしれない。そう思えたのは、ある意味、私の中での豊かさが広がったのかな、と、思います。別のことをやりながら中途半端な気持ちでやり続けるとか、そういうことではありません。女優だけが私の人生ではないんです。母親として、チャイルドセラピストとして、ひとりの女性として、全部が合わさった上で、個としての私がいるんです」
芸歴20年。だけど、まだ30代半ばだ。
「まだ34歳か、と、思えるようになりました(笑)。少し肩の力が抜けて、今までは歯を食いしばって生きてきたけど、これからはときどき笑ったりしながら、生きていけるかなって」
そういえば昔、こんなことがあって、と、彼女は話し始めた。
「10年くらい前、舞台で地方を回っていたとき、大御所の俳優さんとお話する機会があったんです。そのとき、『君は今いくつだ?』と聞かれて『25歳です』って言ったら、『そうか、25か。この5年だぞ』って。『この5年でたくさん貯金をしなさい。お金じゃないぞ、人生の経験を貯金するんだ。この5年の経験が、30歳になったときのあなたの鍵になるからね』って。そう言われて私、本当にいっぱい貯金しました。結婚して出産して離婚して、その5年で私のありとあらゆるものが、集約されてしまった(笑)。私はただ幸せになりたかっただけなのに、こんな経験いらない!って思ったりもしましたけど。でも今、思うんです。この過程を経たからこそ、今の私にたどりついたんだなって」
ちなみに、これは内緒の話だけれど。
「ちょっと難しい、複雑な役に挑戦したことがあって。そのとき初めて、〝あ、実人生の経験が演じる上で糧になるって、こういうことなのか!〟って思うことがありました。離婚したとき、その決断に至るまではお互いにどろっとしたものをぶつけ合ってしまうこともあって。そのとき自分の中に確かにあった黒いドロドロした感情が、役を演じるときにぴたっと重なったんです。無駄じゃなかった、とは言いたくないですけど、無駄じゃなかったんですね(笑)」
芸歴30年、40年になったときに、彼女はさらに進化しているはず。いったいどんな素敵な女優になっていくのだろう?
-
出演 :西原亜希 にしはら あき
1987年生まれ。中学1年生のとき原宿でスカウトされ、2003年ドラマデビュー。2004年には東日本旅客鉄道(JR東日本)SuicaのイメージキャラクターとしてCMに出演。『花より男子』NHK連続テレビ小説『梅ちゃん先生』など数々のTVドラマに出演。最近は日本テレビ系『受付のジョー』にレギュラー出演。
藤賀事務所 HP/https://www.mh-fujiga.com/artist/nishiharaaki.html
『受付のジョー』/日本テレビ
https://www.ntv.co.jp/uketsukenojo/YEOからお知らせ:YEO専用アプリ
このYEOサイトにダイレクトにアクセスするためのスマホ・タブレット用の無料アプリです。
とてもサクサク作動して、今まで以上に見やすくなります。ダウンロードしてください。
iOS版 iOSAndroid版 Android
取材/文:岡本麻佑
フリーライター歴30余年。女性誌、一般誌、新聞などで活動。俳優・タレント・アイドル・ミュージシャン・アーティスト・文化人から政治家まで幅広いジャンルの人物インタビューを書いてきた。単行本、新書なども執筆。
撮影:萩庭桂太
1966年東京生まれ。東京写真専門学校卒業後、フリーランス・カメラマンとして活動開始。
雑誌、広告、CDジャケット、カレンダー、WEB、等幅広いメディアで活動中。
ポートレート撮影を中心に仕事のジャンルは多岐にわたる。
「写真家」ではなく「写真屋」、作家ではなく職人であることをポリシーとしている。
雑誌は週刊文春など週刊誌のグラビア撮影を始め、幅広い世代の女性ファッション誌の表紙を撮影中。
http://keitahaginiwa.com/