2 バレリーナからモデルへ
佐藤康恵
- Magazine ID: 4001
- Posted: 2020.09.01
もともとは、バレリーナ志望の女の子。それもかなり一途な、バレエ大好き少女だった。
「小・中学校のとき、友だちは人じゃなくて、バレエでした。バレエを踊っている時間が友だちだから、人間の友だちがいなくても平気だった。学校にいても、5時限から6時限の間の休み時間になると髪の毛をまとめてお団子にして、バレエのタイツを履いて、バレエシューズを履いて、バレエの準備しか頭になかった。6時限とホームルームが終わるとそのままバレエのレッスンに一目散、でした。移動中も、電車の中はバランス感覚を磨く時間だと思っていたので、ずっとつま先立ちをしていました」
そんな彼女の運命が、14歳のある日を境に、一気に加速する。
「私の通っているバレエ団が表参道にあって、そこにある日、マガジンハウスの編集部の方たちが来て、『an・an』の読者モデルを探していたんです。高校生以上のお姉さんたちが次々に写真を撮られていて、私は丸い窓のところからそれを覗いていたんですよ。すると『こっちにおいでよ』って呼ばれて、一緒に来ていたヘアメイクの宮森隆行さんが私をすごく気に入って下さったらしくて、写真を撮られたの。その時はそれだけだったけど」
そこからの帰り道。
「モデル事務所をこれから開設する、という女の人に声をかけられて、事務所に入りませんか?って」
さらに、バレエ団をかけ持ちしていた彼女が代々木上原のバレエ団に行くと、
「横浜ランドマークタワーのオープニングに向けて、イメージキャラクターをバレリーナの中から探している、という人たちが来ていたんです。先生に勧められて写真をバシャバシャ撮られて、そのままレッスンに入ったんですけど、レッスンが終わった頃連絡が来て、私にそのイメージキャラクターをやりませんか? って」
その結果、横浜ランドマークタワーのイメージキャラクターになり、モデル事務所に入り、『an・an』の後に生まれた女の子向け雑誌『オリーブ』の表紙を飾る。
「もともと、洋服がすごい好きで、保育園の頃から、一日に何度も自分からお着替えするような子でした。それに宮沢りえさんがすごく好きで、憧れていたんです。りえさんがシャツ1枚ですとん、と立っているすごく素敵な写真があって、自分がモデルになれたとき、どうしても同じポーズで写真を撮られたい、と思っていた(笑)。意地を張ったの、覚えています」
さらに、高校に進学してからは、身長がぐんぐん伸びた。
「中学校で身長順に並ぶと、私は真ん中よりも前だったんです。それが高校の3年間で一気に15センチ伸びました。体中が痛いくらい、ミシミシミシミシ音がして、寝るときに苦しくて寝られなかったほど。そのせいでバレエのジャンプができなくて。あと、バレエを頑張ると脚が太くなるかもしれない、っていう心配もありました(笑)。そこから一時期バレエから気持ちが離れていて、その分モデルの仕事にハマったのかもしれません」