NHKの朝ドラ『エール』に出演中の女優・小南満佑子。ヒロイン音(おと・二階堂ふみ)の音楽学校でのライバル・夏目千鶴子として登場し、いきなり山崎育三郎演じる上級生と一緒にオペラ『ドン・ジョバンニ』の中の一曲を歌いあげ、一躍注目を集めた。
 本格的なクラシックの歌唱は圧巻で、突然登場した謎の声楽女子に、『この人、誰?』と思った人は多かったはず。実は、ミュージカル業界ではすでに実績を上げ、存在感を示しつつある逸材なのだ。
「4歳からクラシックバレエとかジャズダンスを習い始めて、ずっと踊るのが大好きだったんです。もともと、マイケル・ジャクソンがすごい好きなんですよ、ウチの家族は。スティービー・ワンダーとかシュープリームスとか、ああいう音楽を常に小さい頃から聴いてきて、エンタメ好きな家庭で育ちました。しかも親が、私が興味を持ったことなら何でも習わせてみようと思ってくれて、ずっといろいろ、習い事を続けて来たんです」
 さらに小学校にあがる前、大地真央さん主演のミュージカル『マイ・フェア・レディ』の大阪公演を見て、ミュージカルに開眼。小学校4年生からクラシックの声楽を学び始めた。
「踊りもクラシックバレエから始めましたし、歌も声楽から始めたほうが喉のためには良いと言われて、クラシック音楽から始めました。やるからにはちゃんと、良い先生に習いたいし、ちゃんと、しっかり勉強したいと思ったんです。中途半端にやったらもったいないじゃないですか」
 なるほど、クラシックはすべてに通じる?
「ミュージカルで歌うのとオペラで歌うのでは発声が違うんですけど、でも根本みたいなところは一緒です。私にとってはポップスもミュージカルもクラシックも、あまり変わらなかったりして。喉という楽器を使う、ということは一緒なので、クラシックでの響きが、実はちょっと使う位置をずらせばポップスにすごく使えたり。ヴォイストレーナーの先生がクラシックもミュージカルもポップスも使い分けられるように、鍛えて下さいましたし、いろいろ勉強させてもらいました」
 初々しいけど、性根は据わっている。クレバーでしっかり者であることは、その話し言葉の美しさからも伝わってくる。今週のYEOはこの小南満佑子が主人公。金曜日まで連日更新しながら、彼女の中身を徹底調査。なんかね、この楚々とした美貌の中には、意外なものが詰まっているみたい。

  • 出演 :小南満佑子 こみなみ まゆこ

    1996年8月10日生まれ、兵庫県神戸市出身。4歳からバレエ、ジャズダンス、タップダンスを、10歳から声楽を始めた。2015年第6回ジュリアード音楽院声楽オーディションで最優秀賞受賞など数多くの声楽コンクールで入賞。高校在学中に『レ・ミゼラブル』オーディションに合格し、ミュージカルデビュー。東京音楽大学在学中の2017年と2019年『レ・ミゼラブル』コゼットを演じた。2016年『Endless SHOCK』ではヒロインのリカを演じている。2020年NHK連続テレビ小説『エール』で夏目千鶴子を演じ、一躍注目を集めた。2021年3月にはブロードウエイミュージカル『アリージャンス~忠誠~』に出演予定。

    公式プロフィール ホリプロ /https://www.horipro.co.jp/kominamimayuko/

    オフィシャルブログ「Peace begins with a smile」/https://ameblo.jp/mayuko-kominami/

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    取材/文:岡本麻佑

    国立千葉大学哲学科卒。在学中からモデルとして活動した後、フリーライターに転身。以来30年、女性誌、一般誌、新聞などで執筆。俳優、タレント、アイドル、ミュージシャン、アーティスト、文化人から政治家まで、幅広いジャンルの人物インタビューを書いてきた。主な寄稿先は『éclat』『marisol』『LEE』『SPUR』『MORE』『大人の休日倶楽部』など。新書、単行本なども執筆。

  • 撮影:萩庭桂太

    1966年東京生まれ。東京写真専門学校卒業後、フリーランス・カメラマンとして活動開始。
    雑誌、広告、CDジャケット、カレンダー、WEB、等幅広いメディアで活動中。
    ポートレート撮影を中心に仕事のジャンルは多岐にわたる。
    「写真家」ではなく「写真屋」、作家ではなく職人であることをポリシーとしている。
    雑誌は週刊文春など週刊誌のグラビア撮影を始め、幅広い世代の女性ファッション誌の表紙を撮影中。
    http://keitahaginiwa.com/