佐々木ありさを作っているのは、ダンスと水泳、映画と読書。でもそれだけじゃ、女優になるという化学変化は起こらない。
 佐々木ありさにとって、演じるってどういうことなんだろう?
「わたし、なんか、みんなといるとき、けっこう気を遣っちゃうんです。周りを気にしすぎるんです。今私はこう思ったけど、それを口にしたらこの人はイヤな気分になるんじゃないか、とか。だから何も言えなくなる。それがすごいコンプレックスです。それを思うと涙が出そう」
 そう言いながら、もう泣いている。
「でもそれを、お芝居で発散できるんです。その役とか設定があると、その中で自由になれる。もう、別世界に行って、違う人生で、違う人になれるから。踊っているときも歌詞に合わせてその世界に入り込んで、楽になるからダンスが好きだし、映画とか小説に没頭してしまうのも、きっと同じことだと思います。実生活の自分のことだと、今、今、今しかなくて息苦しいけど、フィクションの世界で演じていると、深呼吸できる、みたいな」
 そう言いながら、もう笑ってる。
「あと私、カメラさんとかスタッフさんたちがやってることも、すごく興味があるんです。演じることは大好きだけど、現場の空気も好きだなって、大河をやって改めて思いました」
 まだまだ走り出したばかり。だけど、女優は佐々木ありさの天職、なのかもしれない。