#3 作曲&プロデュース
囃子方・横笛奏者 藤舎貴生
- Magazine ID: 3812
- Posted: 2018.12.12
今日の写真は五代目尾上菊之助さん、尾上菊之丞さんと作曲家としてのリハーサル中のひとこま。今日の撮影も、藤舎貴生の取材なら、と、快諾していただけた。ひょっとして藤舎貴生って、囃子方の中でも、大物なのかも?
活動の場は主に歌舞伎。日本舞踊の公演にも参加する。だがそれだけで満足するような藤舎貴生ではない。オーケストラと共演したり、林英哲、清塚信也など他ジャンルのミュージシャンとコラボしたり。作曲も多く手がけ、日本舞踊の曲を作るのみならず、作詞家・松本隆との「静」を東京国立劇場にて発表。さらにはNHK大河ドラマ『花の乱』の演奏、出演。『風林火山』ではヒロイン柴本幸の横笛指導、笛作曲演奏も。
そしてすべての楽曲の構成と作曲、プロデュースを担当したCD『幸魂奇魂(さきみたま くしみたま)』は、長唄、能楽、清元節、箏曲、尺八などふだんは一緒に演奏されることのない〝壮大な邦楽ジャンルのオールスター〟と、松本隆氏が『古事記』のエピソードを書き下ろした〝口語体の朗読・地謡〟を融合させたものとして、高く評価された。
「ま、趣味です(笑)。なかなか自分が観たいものがなくて、だったら人が作ってくれるのを待つより、自分でやればいいじゃないかって、ただそれだけの話です。呼びたい人を呼んで、これをやってもらったら面白いんじゃないかって。そういうのは本来、横笛奏者の仕事ではないですし、おかしいですよね、本当は」
四代目市川猿之助、若村麻由美、尾上菊之丞、茂山逸平、桂米治らを集めて開催した舞台『未来創伝』も、大いに話題を呼んだ。
「僕のワガママに皆さん付き合って下さって、恵まれていると思います。(当代の)猿之助さんに電話して会いに行って、こんなこと考えているんだって話したら、面白そうじゃん、と、そのまま出てもらえた。自分でプロデューサーって意識はないんですけど、でもそういうの、嫌いじゃないです。笛を吹くより好きかも知れない(笑)。この調子で、僕が頼むと〝まったくあの人はしょうがないよね〟って言いながらも、出てもらえるようになったら、しめたものだと思います(笑)」
その公演もチケットはあっという間に売り切れて、大成功。
「はい、完売して、協賛金もいただいたんですけど、でも赤字でした。猿之助さんに宙乗りをして欲しくて、どうしてもやりたくなって、でも宙乗りって高くつくんです。どうせなら、と、リハーサルのときは僕がテストで乗りました。飛びながら笛が吹けるか、試したくてね。はい、ちゃんと吹けました。だからまあ、良かったかな、と(笑)」
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出演 :藤舎貴生 とうしゃ きしょう
1970年生まれ。京都市出身。東京藝術大学卒業。歌舞伎音楽、日本舞踊の横笛(能管、篠笛)の演奏家。古典音楽のみならず林英哲、DJ KENTARO、村治佳織らとの共演も果たす。EXILE USA、黒田征太郎、武田双雲など異種アーティストとのコラボも多い。作曲家としてCM音楽、東京コレクションでの音楽も担当。またプロデューサーとして『未来創伝』などの公演を企画、CD『幸魂奇魂』は第54回日本レコード大賞企画賞を受賞している。
【公演情報】
『有頂天會』
2018年12月15日(土)一部 11時開演/二部15時30分開演
京都先斗町歌舞練場にて。
特別出演 松本幸四郎・尾上菊之丞
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取材/文:岡本麻佑
国立千葉大学哲学科卒。在学中からモデルとして活動した後、フリーライターに転身。以来30年、女性誌、一般誌、新聞などで執筆。俳優、タレント、アイドル、ミュージシャン、アーティスト、文化人から政治家まで、幅広いジャンルの人物インタビューを書いてきた。主な寄稿先は『éclat』『marisol』『LEE』『SPUR』『MORE』『大人の休日倶楽部』など。新書、単行本なども執筆。
撮影:萩庭桂太
1966年東京生まれ。東京写真専門学校卒業後、フリーランス・カメラマンとして活動開始。
雑誌、広告、CDジャケット、カレンダー、WEB、等幅広いメディアで活動中。
ポートレート撮影を中心に仕事のジャンルは多岐にわたる。
「写真家」ではなく「写真屋」、作家ではなく職人であることをポリシーとしている。
雑誌は週刊文春など週刊誌のグラビア撮影を始め、幅広い世代の女性ファッション誌の表紙を撮影中。
http://keitahaginiwa.com/