銀行員になりたかった内気な女の子が女優になり、悪女役で名を挙げ、結婚してからは良き主婦であり、母になり。
「ね、人間て、わからないものですね(笑)。こういう世界に入って、みんなでモノを作る面白さを知って、いろんな方々とコミュニケーションを取ることによって、世界が広がりました。私の性格もずいぶん変わってきたと思います」
　そして45歳になった今、女優の仕事に気持ちはまっすぐ、向かっている。
「ドラマはもちろんですけど、舞台の仕事もやりたい。もう犯人役でも悪女役でも、いろいろな役に挑戦したいです。これからは、『おみやさん』でご一緒した菅井きんさんのように、いくつになっても現場で必要とされる女優になりたい。細く長く、女優という仕事を続けたいと今は思っています」
　つい最近、こんなことがあった。ママ友３人、子ども３人の母子３組で、最近流行のフォレストアドベンチャーに出かけたときのこと。
「私、実は高いところが苦手なんです。でもそこは木に登ったり川の上をロープで渡ったり、私から見るとすごくコワイところでした(笑)。でもここで〝私は見てるから、いってらっしゃい〟なんて言っちゃダメだと思ったんです。娘にはここで、頑張る母の姿を見せたい、と思って、最後まで逃げずに、くじけずに頑張りました。それに、やってみたら意外と楽しくて(笑)。やればできる、やっぱりチャレンジ精神をなくしちゃ、いけないなって」
　考えてみれば女優の仕事も、結婚も出産も、なんだって人生、アドベンチャーの連続。逃げずに立ち向かってきたからこそ、今の櫻井淳子がいる。
「あ、カッコ良く言えば、そういうことになりますね(笑)」
　45歳の挑戦は、もう始まっている。