#2 女優か、経理か
女優・櫻井淳子
- Magazine ID: 3776
- Posted: 2018.10.16
もともとは引っ込み思案の人見知り、おとなしい女の子だったという。
「高校時代は数字を見ているのが大好きで、簿記とか計算表が得意で、数字がびしーっと揃うのが快感。銀行にお勤めするのが夢で、手堅い仕事に就くことしか考えていませんでした」
ところがスカウトされ、所属事務所の先輩女優についてドラマの撮影現場を見学するうちに、演技の面白さにとりつかれたという。
「でも先の事は分かりませんから、芸能事務所に入るときも、正社員として契約する、と、一筆書いてもらいました。女優として芽が出なかったら、経理として働かせてもらう約束でした(笑)」
高校を卒業した年にドラマ『葡萄が目にしみる』でデビュー。このとき、初めての演技で監督に怒られ、教えられ、一生懸命頑張ってやりきったことで、大きな達成感を覚えた。その後、グラビア雑誌などで活動し、やがて連続ドラマのチャンスを手にする。
「別にナイスバディってわけでもないのにグラビアのお仕事をさせていただき、いろいろと迷う時期もありました。高校の同級生は結婚して幸せになっていくのに、私は仕事がないから毎日スポーツクラブに通っていて、こんなことしていていいのかな、って」
女優としての覚悟が決まったのは、20代も半ばになってから。
「『ショムニ』の宮下佳奈役をいただいて、それからですね。会社の重役の愛人で社内の情報通の魔性OLなんて、私をよく知ってる人間が『大丈夫?』って心配してくれるほど、私自身とはかけ離れたキャラクターだったんです。当時のマネジャーと二人三脚で、こうしてみたらどうだろう? ああしたほうがいいんじゃないか? って相談して、毎日鏡を見ては微笑み方を研究したりして」
ドラマの人気が上昇するとともに、彼女への評価も定まった。
「これでやっと、女優として生きていけるかな、と。頑張っていこうと思いました」
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出演 :櫻井淳子 さくらい あつこ
1973年生まれ。埼玉県出身。1991年18歳で女優デビュー。「ショムニ」「おみやさん」など数々の人気ドラマに出演。1993年連続ドラマ初主演の『誘惑の夏』で第31回ゴールデン・アロー賞放送新人賞・最優秀新人賞。2006年主演ドラマ『美しい罠』で東海テレビスポーツ芸能選奨。2003年結婚。2007年第一子を出産。
オフィシャルHP http://www.is-field.com/management/sakuraiatsuko.html
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取材/文:岡本麻佑
国立千葉大学哲学科卒。在学中からモデルとして活動した後、フリーライターに転身。以来30年、女性誌、一般誌、新聞などで執筆。俳優、タレント、アイドル、ミュージシャン、アーティスト、文化人から政治家まで、幅広いジャンルの人物インタビューを書いてきた。主な寄稿先は『éclat』『marisol』『LEE』『SPUR』『MORE』『大人の休日倶楽部』など。新書、単行本なども執筆。
撮影:萩庭桂太
1966年東京生まれ。東京写真専門学校卒業後、フリーランス・カメラマンとして活動開始。
雑誌、広告、CDジャケット、カレンダー、WEB、等幅広いメディアで活動中。
ポートレート撮影を中心に仕事のジャンルは多岐にわたる。
「写真家」ではなく「写真屋」、作家ではなく職人であることをポリシーとしている。
雑誌は週刊文春など週刊誌のグラビア撮影を始め、幅広い世代の女性ファッション誌の表紙を撮影中。
http://keitahaginiwa.com/