#1 久しぶりの連絡
阿佐ヶ谷スパイダース
- Magazine ID: 3760
- Posted: 2018.08.13
実に久しぶりに長塚圭史くんから連絡があった。
彼が私の名前をほとんど無断で使って立ち上げた葛河思潮社というところで、
また何やら面倒な芝居でも始めるのかなと警戒していたら、そうではなくて、
彼が二十の頃から続けている阿佐ヶ谷スパーダースなる演劇ユニットを今度劇団化したので、
是非その稽古場に遊びに来てくれと言うのだ。
そもそも演劇に批評的である私をわざわざ稽古場に呼ぶとは一体どういう了見なのか検討もつかないが、
ともあれ久々の連絡であったし、私はもちろん新作の執筆で忙しいのだけれど、
まあ1日くらいならケチケチせずぶらりと行ってやってもいいだろうと、川崎の稽古場を覗きに行ったのだ。
稽古場というのは演劇人にとって極めて神聖な場所である。
ゆえに私もそれなりに背筋を伸ばして、そろり足を踏み入れたのだけれど、
いやはや想像を絶する驚きの光景がそこにあった。
無邪気に(おそらく舞台上を)走り回る子供達、その子供達に興奮して鳴き声を上げる犬(犬!)、
そしてほんのりと漂う何とも美味しいような匂い。
これは稽古場なのか?食堂なのか?それとも今日は稽古ではなくパーティなのだろうか。
そんなはずはない。
長塚くんは演出席らしき場所で、いよいよ稽古を始めますとばかりに座っているのだ。
-
出演 :阿佐ヶ谷スパイダース あさがやすぱいだーす
1996年、長塚圭史と伊達暁を中心に〈演劇プロデュース・ユニット〉として結成、「アジャピー・ト・オジョパ」にて旗揚げ。1998年より中山祐一朗が参加。2004年、長塚が第15回公演「はたらくおとこ」の作・演出にて第4回朝日舞台芸術賞などを受賞。2016年までに全25作品を上演。2017年5月、旧知の仲間がメンバーとして加入し、‹劇団〉化。2018年、オーディションを経た新メンバー加入。同年8月「MAKOTO」上演。
公式ホームページ・http://asagayaspiders.com/
【公演情報】 阿佐ヶ谷スパイダース「MAKOTO」
作・演出:長塚圭史 出演:中村まこと、大久保祥太郎、木村美月、坂本慶介、志甫真弓子、伊達暁、ちすん、長塚圭史、中山祐一朗、藤間爽子、森一生、李千鶴東京公演:2018年8月9日(木)~20日(月)吉祥寺シアター 大阪公演:2018年8月25日(土)・26日(日)近鉄アート館 新潟公演:2018年9月1日(土)りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館
神奈川公演:2018年9月7日(金)~9日(日)KAAT神奈川芸術劇場〈大スタジオ〉
まつもと公演:2018年9月29日(土)・30日(日)まつもと市民芸術館公演詳細について→ http://asagayaspiders.com/stage.html
YEOからお知らせ:YEO専用アプリ
このYEOサイトにダイレクトにアクセスするためのスマホ・タブレット用の無料アプリです。
とてもサクサク作動して、今まで以上に見やすくなります。ダウンロードしてください。
iOS版 iOSAndroid版 Android
文:葛河梨池
小説家。葛河思潮社代表。虚構と現実を演劇的に旅することが可能な数少ない作家である。恐怖小説で人気を博した。近作に『小夜更方棘奇譚』など。現在は壮大な幻想小説の構想に着手している。長塚圭史の作品『アンチクロックワイズ・ワンダーランド』や『あかいくらやみ〜天狗党幻譚〜』に登場した。
撮影:萩庭桂太
1966年東京生まれ。東京写真専門学校卒業後、フリーランス・カメラマンとして活動開始。
雑誌、広告、CDジャケット、カレンダー、WEB、等幅広いメディアで活動中。
ポートレート撮影を中心に仕事のジャンルは多岐にわたる。
「写真家」ではなく「写真屋」、作家ではなく職人であることをポリシーとしている。
雑誌は週刊文春など週刊誌のグラビア撮影を始め、幅広い世代の女性ファッション誌の表紙を撮影中。
http://keitahaginiwa.com/