活動の拠点をニューヨークに移してから、もう21年になる。
「面白いこと、変わったことをやっている人がいっぱい居る街です。そういう人たちがやっていることを近くで見たり聴いたりしていると、〝ああもう、I am so behind!〟、〝足りない足りない、もっともっと、ガンガンやらないといけない!〟って思うの。上には上がいて、トップクラスのソリストがカーネギーでリサイタルをやっているのを見ると、〝私なんて、まだまだだな〟って思うし。そう思ってガッツを出さないと、出し続けないと生きていけない街です。だって、生ぬるいところからは、何も生まれないですよね」
 シビアな街なのだ。
「家賃も高いしね、生活するのも楽じゃないです。カーネギーホールやリンカーンセンターでオーケストラや室内楽のコンサートに出演することもあるし、場末の小さなカフェで食事しているお客相手に演奏することもある。ブロードウエーのショーで演奏したりもするし、公立学校のヴァイオリンプログラムで小さい子どもたちに教えることもある。そんなことを次から次へわーっとやってると、すぐにスケジュール帳は埋まっちゃいます」
年に2~3回は日本でも公演があり、帰ってくるけれど。
「飛行機から降りると一歩目でどわーっと重い湿気を感じて、『日本に帰ってきた!』と思うし、ニューヨークのJFK空港に着くと、いきなり現実が降ってくる(笑)。日本もアメリカも、どっちに着いても『ただいま!』って感じます」

  • 出演 :小澤真智子  おざわ まちこ

    ニューヨーク在住のヴァオリニスト。東京藝術大学卒業後、ロンドン・ギルドホール音楽院にてアーティスト・ディプロマ、ニューヨーク・ジュリアード音楽院にて修士号を取得。タングルウッド、アスペンとはじめとする海外の音楽祭に奨学生として参加。卒業後、2004年から2006年までメキシコ・シナロア州立交響楽団第1コンサートマスターとして活躍。2002年アメリカ、アーティストインターナショナル主催コンクールで優勝。2011年初アルバム『URBAN TANGO TRIO』をリリース。2015年からワシントンDCのS&R財団アーティスト・イン・レジデンスとして活躍。2018年日経ミューズサロン、昭和女子大人見記念講堂、鎌倉芸術館などで「小澤真智子旅するヴァイオリン タンゴ&ビヨンド」公演を成功させた。

  • 公式ホームページ(FB ・YOUTUBE・インスタグラムほかリンクボタンあり) https://machiko-ozawa.squarespace.com/about-machikoozawa/

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    取材/文:岡本麻佑

    国立千葉大学哲学科卒。在学中からモデルとして活動した後、フリーライターに転身。以来30年、女性誌、一般誌、新聞などで執筆。俳優、タレント、アイドル、ミュージシャン、アーティスト、文化人から政治家まで、幅広いジャンルの人物インタビューを書いてきた。主な寄稿先は『éclat』『marisol』『LEE』『SPUR』『MORE』『大人の休日倶楽部』など。新書、単行本なども執筆。

  • 撮影:萩庭桂太

    1966年東京生まれ。東京写真専門学校卒業後、フリーランス・カメラマンとして活動開始。
    雑誌、広告、CDジャケット、カレンダー、WEB、等幅広いメディアで活動中。
    ポートレート撮影を中心に仕事のジャンルは多岐にわたる。
    「写真家」ではなく「写真屋」、作家ではなく職人であることをポリシーとしている。
    雑誌は週刊文春など週刊誌のグラビア撮影を始め、幅広い世代の女性ファッション誌の表紙を撮影中。
    http://keitahaginiwa.com/