40代で歌手MIYAKOとしてメジャーデビューを果たした大本 京さん。それまで芸能界の先達である父恭敬氏の手前、歌の道に進むことを躊躇っていました。
「でも、今になって思うのは、親が何を言おうが進めばよかったな、と。親のことをエクスキューズにして挑戦しなかった。そのあたりが、意外に小心者なんです。正面からトライするのが怖かったのかもしれない」
本人はそのように言いますが、側で見ていると彼女は失敗を恐れるというより、慎重で、万全を期すタイプに見えます。それは、歌手をめざす生徒たちへのアドバイスからもわかります。

「チャンスが訪れたときに、いつでも応じられよう、つねに準備しておきなさい、と教えています。私自身、ヴォイストレーニング®だけでなく、体づくりや、外見を磨くことも大切だと考えて、日頃から怠らないようにしています。そんな姿を見て、生徒たちも変わってきました」
30代の終わり頃から自分磨きに努め、一方ではヴォイストレーナー®として全国へ赴く日々が続いていました。

そんなある日。
「父が病気で倒れたのです。入院中に、私の年齢を訊かれたので40歳になったと答えたら、父はたいへん驚いて。いつまでも娘だと思っていたらいつの間にか……と思ったのでしょう。『もう自分の人生なんだから、好きにしていいよ』と言われました」
事実上の、歌手への道、解禁です。

そうしてデビューを果たした娘の姿を見て、恭敬氏はどのように感じているのでしょうか。
「あのね、子どもに自転車の乗り方を教えるときに後ろから支えるでしょう? そのうち一人で走り出すんだけれど、まだ危なっかしくて思わず手を出したくなるような……。歌に関しては言いたいこともあるけどね。そこは彼女の人生だし、言うと怒るから(笑)」
親娘の絶妙な距離感が伝わる言葉です。ちなみに二人一緒に歌うときにも、よくある“顔を寄せ合って”歌う場面は決してないそうです。だけどコンサートでは同じステージに立つ、そんな距離感。

ヴォイストレーナー®としても、京さんは新しい道を開きつつあるようです。それは、歌手とはまったく違う人たちを指導するということ。
さて、どんな人たちがヴォイストレーニング®を受けているのでしょうか。

  • 出演 :大本 京  おおもと きょう

    東京都出身。1月24日生まれ。水瓶座O型。小学5年生のころから独学でピアノ、作詞作曲を始め、中学時代にはフォークソングクラブを設立し、学園祭では初めてのライブを体験。高校時代はフォーク村同好会に所属、オリジナル曲でのライブ活動を中心に、ヤマハのポプコンなどにも出場。留学先のボストンのエンディコット・カレッジでは、コマーシャルアートを専攻。卒業後はデザイナー、アートディレクター、カウンセラーなど、多彩な才能を活かし第一線で活躍。1996年、ライフワークである音楽を再開。ニューヨークのカーネギーホール、ホノルルのハワイシアターなど、世界の檜舞台を経験。2009年10月21日、MIYAKOとして念願のメジャーデビュー。「着物 de Jazz」、年2回開催の「MIYAKO & Papa Special Live」など、精力的にライブ活動を行なう。2013年6月、コロムビア・マーケティング(SVACレーベル)より待望のファーストアルバム『白い花の咲くころ』を発売。全19曲入り。歌謡史100年の名曲の数々をジャズ・ピアニストの小泉宏がスウィートジャズコンボ風にアレンジし、MIYAKOが誘う魅惑の世界が完成した。
2014年3月、台湾台北にてコンサート。以降、歌手としてのライブ活動に加え、ヴォイストレーニング講演、セミナー、レッスン活動。2016年11月、コロムビア・マーケティング(SVACレーベル)より2nd.シングル「おぼろながれ」発売。2017年、歌手、ヴォイストレーニングのほか、研修やセミナー、原稿、ラジオ、テレビ出演など幅広く活動。Beauty Branding講座開講、音声アプリ「ヒマラヤ」ラジオデビュー/ヴォイストレーニング®コンテンツ提供、テレビ朝日「今夜、誕生!音楽チャンプ」(辛口)審査員出演、キネコ国際映画祭 オープニング出演など   
    公式ホームページhttp://miyako-creative.com/

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  • 取材/文:加藤いづみ

    コピーライター。東京都出身。成城大学文芸学部卒。広告、SP、WEBのコピーライティング、企画、コンテンツ開発のほか、企業のPR冊子を定期的に制作している。
    Facebookページ(不定期更新)https://www.facebook.com/mi.company/

  • 撮影:萩庭桂太

    1966年東京生まれ。東京写真専門学校卒業後、フリーランス・カメラマンとして活動開始。
    雑誌、広告、CDジャケット、カレンダー、WEB、等幅広いメディアで活動中。
    ポートレート撮影を中心に仕事のジャンルは多岐にわたる。
    「写真家」ではなく「写真屋」、作家ではなく職人であることをポリシーとしている。
    雑誌は週刊文春など週刊誌のグラビア撮影を始め、幅広い世代の女性ファッション誌の表紙を撮影中。
    http://keitahaginiwa.com/