坂田三吉のまわりには常に彼を慕い、彼と共に闘おうとする弟子たちがいた。今日はその弟子たちを演じる若手俳優をクローズアップ。ま、若手といってもみんな、10年以上この世界にいる中堅どころだけど。
しかも若手棋士役だけじゃなく、相撲取りやら芸人やら詰め将棋屋やら僧侶やら、場面場面によって、ひとり数役こなすのは当たり前。芸達者な皆さんなのだ。
「石田剛太です(後列左)。僕は『王将』の話を(福田)転球さんから聞いていて、(長塚)圭史さんと飲む機会があったときに〝僕、将棋好きなんですよ〟ってアピールしたんです。でもいざ稽古に参加してみたらもう、演劇のバケモノみたいなすごい先輩たちばかりで、連日打ちのめされています」
「池浦さだ夢です(後列真ん中)。僕も(長塚)圭史さんと石田さんが飲んでいる席に偶然居合わせて〝石田さんより僕のほうが面白いですよー〟てなノリで。僕も毎日打ちのめされて、石田さんと一緒に、傷のなめ合いしながら帰り道を歩いています」
「原田志です(前列左)。僕は山内(圭哉)さんに誘っていただきました」
「原田さん、カイジみたいな顔してますね。あ、僕は大東駿介です(右端)。僕は以前ある舞台で(山内)圭哉さんと(福田)転球さんと一緒だったんです。今回、マネージャーから電話があって〝こういう大変な作品なんだけど、大東やったら断れへんやろ〟って山内さんが言ってますって(笑)。そんなん言われて断れるわけないですよね(笑)」
 彼らにとってこの『王将』の舞台は、いろいろな意味で刺激に満ちているようだ。
「新ロイヤル大衆舎の人たちやベテラン俳優の皆さんはエネルギーがすごいし、エンジン温めてきてはるから、爆発力すごくて。俺ら若手がその分〝弱っちく見えたらどうしよう?〟って思います。若手、がんばらな。でもベテラン勢は生きざまで見せてくるから、闘いようがないんですよ。俺らの薄っぺらい人間性じゃ太刀打ちできない(笑)」(大東)
「そもそも新ロイヤル大衆舎立ちあげなんて、カッコ良すぎですよ。この人らにこんなんされたら、僕らどうしたらいいんですか。お笑い芸人さんでも、上が強すぎて上がれないってあるじゃないですか・・・・」(池浦)
 若手たちの声を黙って聞いていた福田転球(中央・坂田三吉役)が、いきなり吠えた。
「何言うてんのや! まだまだ僕自身が未完成、まだ何もできてない。僕はこれからも挑戦がたくさんある。まだまだ修行せなアカンことがたくさんあります!」
 なんか、まんま坂田三吉と弟子たちみたい。