4 良い子を演じるのはやめました
女優宣言 田中道子
- Magazine ID: 3393
- Posted: 2016.10.20
小さい頃から映画好きだった田中は、ミスコンを経てモデルとして活躍しながら、女優を志すようになる。だけどモデルと女優では、求められるものがまったく違っていた。
「ミスコンで求められるのは、聡明でフレンドリーでコミュニケーション能力もあって慈善活動にも積極的な、理想の女性像です。そうじゃない部分は隠して見せないのが当たり前。モデルの仕事も、スタイルや外見で勝負すれば、ある程度はうまくこなせます。でも女優の仕事は、演じること。まずは殻を外せと、マネージャーさんから毎日のように言われるようになりました。何カッコつけているの? 良い子を演じるのはやめなさいって」
それはある意味、美人の宿命でもある。完璧な美女なんて、世間は求めていないのだ。ちょっとした欠点、というか人間臭さがないと、血の通った美貌にはならない。
「これでも破天荒に生きてきたつもりなんですけど(笑)。でも思い起こせば私、両親の言うことしか聞いてこなかった。私ってけっこう生真面目でツマンナイ人間なんだな、って落ち込んだりもしました。女優であるためには、自分とトコトン、向き合わないといけないんですね。今まで誤魔化してばかりいたけれど、短気とかズボラとか自分の欠点に改めて気が付いて、しかも際だった個性なんてないことにも気が付いて、わけがわからなくなってしまって・・・・」
そんな迷いから彼女を救ったのは、初めて入ったドラマの現場だった。
「主演の米倉凉子さんだけでなく西田敏行さん、泉ピン子さん、岸部一徳さん、生瀬勝久さんとベテラン揃いの現場の中で、私ひとりド新人なので、まっさらな気持ちに立ち戻るしかなかったんです。見得の張りようもなく、いつのまにか迷いも消えました」
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出演:田中道子(たなか みちこ)
1989年8月24日生まれ。静岡県出身。「ミス・ワールド2013」日本代表。モデルとして活動の後、2016年3月に女優宣言。10月スタートする『ドクターX~外科医・大門未知子~』第4シリーズ(テレビ朝日系、毎週木曜よる9時~)で西田敏行氏演じる東帝大学病院病院長・蛭間の秘書兼愛人・白水里果役を演じる。
オフィシャルブログ http://ameblo.jp/michiko-tanaka-blog/
取材/文:岡本麻佑
国立千葉大学哲学科卒。在学中からモデルとして活動した後、フリーライターに転身。以来30年、女性誌、一般誌、新聞などで執筆。俳優、タレント、アイドル、ミュージシャン、アーティスト、文化人から政治家まで、幅広いジャンルの人物インタビューを書いてきた。主な寄稿先は『éclat』『marisol』『LEE』『SPUR』『MORE』『大人の休日倶楽部』など。新書、単行本なども執筆。
撮影:萩庭桂太
1966年東京生まれ。東京写真専門学校卒業後、フリーランス・カメラマンとして活動開始。
雑誌、広告、CDジャケット、カレンダー、WEB、等幅広いメディアで活動中。
ポートレート撮影を中心に仕事のジャンルは多岐にわたる。
「写真家」ではなく「写真屋」、作家ではなく職人であることをポリシーとしている。
雑誌は週刊文春など週刊誌のグラビア撮影を始め、幅広い世代の女性ファッション誌の表紙を撮影中。
http://keitahaginiwa.com/