サポートするのは、若者ばかりではない。前田裕志さんは50代半ば。仕事を持ちながら、ブラインドサッカー事務局の社会人スタッフとして活動している。数年前、ニュースでブラインドサッカーを知り、協会のホームページをのぞいて見たら社会人スタッフを募集していたので、面白そうだと思い、応募したという。

「もともと普通の企業で総務の仕事をしていたので、当初は保険業務とか庶務的なことを手伝ったり、ボランティアと一緒にものを運んだりしていました。徐々に試合の運営にも関わるようになったんです。やりがいがありますし、自分の余暇のひとつの過ごし方として、捉えています。仕事とこっち、両方忙しいと徹夜続きになることもあって、最近、どっちが本業かわかんないこともありますけど(笑)。でもボランティアを意識して、人のためにやっているつもりはありません。やりたいことをやらせてもらっている、という感じですね」

 遺跡の発掘とかジャズとか、他にも趣味をいろいろ持っているという前田さん。仕事だけじゃなく、いろいろなステージを持っている熟年男性は、ちょっとカッコイイ。

「選手たちは障がい者だと思っていたけど、実際にはふつうのアスリートなんです。たまたま目が見えないだけで、身体的にかなり優れている。ですから自分は〝助ける〟ではなく〝一緒に作っていく〟感覚で、そこはかなり大きな違いですね。選手たちといると向上心というか、この年齢になっても、自分でなにかもっとやれることがあるのではないかと思える。新しいことをさらに学んだり、作り出したりすることができそうな気になってきます。やっていて良かったなと思います」

  • NPO法人日本ブラインドサッカー協会 

    オフィシャルサイト  http://www.b-soccer.jp/

  • 取材/文:岡本麻佑

    国立千葉大学哲学科卒。在学中からモデルとして活動した後、フリーライターに転身。以来30年、女性誌、一般誌、新聞などで執筆。俳優、タレント、アイドル、ミュージシャン、アーティスト、文化人から政治家まで、幅広いジャンルの人物インタビューを書いてきた。主な寄稿先は『éclat』『marisol』『LEE』『SPUR』『MORE』『大人の休日倶楽部』など。新書、単行本なども執筆。

  • 撮影:萩庭桂太

    1966年東京生まれ。東京写真専門学校卒業後、フリーランス・カメラマンとして活動開始。
    雑誌、広告、CDジャケット、カレンダー、WEB、等幅広いメディアで活動中。
    ポートレート撮影を中心に仕事のジャンルは多岐にわたる。
    「写真家」ではなく「写真屋」、作家ではなく職人であることをポリシーとしている。
    雑誌は週刊文春など週刊誌のグラビア撮影を始め、幅広い世代の女性ファッション誌の表紙を撮影中。
    http://keitahaginiwa.com/