川池聡子さんはバレエやオペラ、ミュージカル、演劇、オーケストラコンサートなどを担当するプロデューサー。もともとスポーツが大好きで、スポーツ科学を日本の大学で学んだ後、スポーツ経営学を学ぶためアメリカに留学。アメリカのエンタテインメント業界で勉強した後、11年前に帰国してキョードー東京に入社した。

「でもその時点ではミュージカルとかバレエとか、ほとんど観たことがなかったんです。その後少しずつ、仕事のためにブロードウェイのミュージカルやバレエ、オーケストラを観るようになりましたけど、それはあくまでも仕事であって、個人的にハマることはありませんでした」

 DAZZLEを知ったのは2011年。担当したミュージカル『ドラキュラ』を長谷川達也が出演と振付を担当した縁で、DAZZLEの舞台に足を運んだという。

「〝びっくり!!〟しました。仕事柄いろんなダンスやミュージカルを観ていますけど、今まで見たことのないスタイル、面白いとか面白くないとかを超越して〝これ、私、好きだ!〟と魅了されたんです。こういうスタイルのダンスで90分の演目を作り上げることができるのはDAZZLEだけだと思うし、けして商業的に走っていないけど、ぶれない軸がある。しかも自分たちの存在に気が付いて欲しいというハングリー精神が舞台に現れている。すごく魅力的だし、ずっと関わっていたいと直感しました。だからその2年後『ドラキュラ』が再演されて長谷川さんと再会したとき、〝私たちと舞台やりませんか?〟とお誘いしたんです。このチャンスを逃してなるものか、と(笑)」

 川池さんが用意したのは、有楽町にある東京国際フォーラム・ホールC。その時のことを、DAZZLEの長谷川はこんなふうに説明してくれた。

「国際フォーラムは、〝いつかここでDAZZLEの公演をしたい〟と夢見ていた場所だったんです。でも大きな会場ですからね、当時の僕らにはそれだけの集客力はないと思った。そう言うと川池さんは、『大丈夫、私チケット売るの得意なんです!』って(笑)」

 なんて頼もしいプロデューサーだろう! もちろん公演は大成功。そして川池さんにとってDAZZLE第2弾が、今年10月14日~23日の20周年記念公演「鱗人輪舞」 (リンド・ロンド)だ。

「これを観なければ損しますよ、って押し売りしたい気分です(笑)。DAZZLEを知っている人たちは、何も言わなくてもチケットを買って下さる。知らない人たちにどこまでアピールできるか、ですよね。でも私、チケット売るの得意ですから(笑)、頑張ります!」

  • 出演:川池聡子(かわいけ さとこ)

    2005年キョードー東京入社。現在、キョードー東京取締役、第2事業本部・マーケティング事業本部 本部長。海外ミュージカル、バレエ、映画とオーケストラの融合コンサート(シネオケ)などを手がける。

    DAZZLE オフィシャルサイト http://www.dazzle-net.jp/index.html

    【公演情報】

    DAZZLE20周年記念公演
    「鱗人輪舞」 (リンド・ロンド)
    演出:長谷川達也 脚本:飯塚浩一郎 出演・振付:DAZZLE(長谷川達也、宮川一彦、金田健宏、荒井信治、飯塚浩一郎、南雲篤史、渡邉勇樹、高田秀文)
    10月14日(金)~23日(日)あうるすぽっと(豊島区舞台芸術交流センター)DAZZLE席8000円指定席6000円
    問い合わせ:キョードー東京 0570-550-799 http://kyodotokyo.com/dazzle20

    ここ数年は「大友克洋GENGA展」(2012)への特別出演、「ASTERISK」(2013、2014・東京国際フォーラム)の演出・脚本・主演、津軽三味線や和太鼓など日本の伝統音楽との共演、坂東玉三郎演出による舞台「バラーレ」(2015)など、さまざまな挑戦をしながらダンスの未来を切り拓いてきた。20周年記念公演ではこれらの成果を生かしつつ、美しさと妖しさに満ちた新作でDAZZLEワールドへと誘う。

  • 取材/文:岡本麻佑

    国立千葉大学哲学科卒。在学中からモデルとして活動した後、フリーライターに転身。以来30年、女性誌、一般誌、新聞などで執筆。俳優、タレント、アイドル、ミュージシャン、アーティスト、文化人から政治家まで、幅広いジャンルの人物インタビューを書いてきた。主な寄稿先は『éclat』『marisol』『LEE』『SPUR』『MORE』『大人の休日倶楽部』など。新書、単行本なども執筆。

  • 撮影:萩庭桂太

    1966年東京生まれ。東京写真専門学校卒業後、フリーランス・カメラマンとして活動開始。
    雑誌、広告、CDジャケット、カレンダー、WEB、等幅広いメディアで活動中。
    ポートレート撮影を中心に仕事のジャンルは多岐にわたる。
    「写真家」ではなく「写真屋」、作家ではなく職人であることをポリシーとしている。
    雑誌は週刊文春など週刊誌のグラビア撮影を始め、幅広い世代の女性ファッション誌の表紙を撮影中。
    http://keitahaginiwa.com/