もうひとつ、9月には、また趣の違った冒険が若村さんを待っている。

9月1日に、ビルボードライブ東京で行われる『松本隆の世界~風のコトダマ~』と名付けられたイベント。このイベントで、若村さんは松本さんがこれまで手掛けたヒット曲の歌詞や、近年、彼が現代語訳を手掛けているシェイクスピアや古事記などの古典の一節を朗読することになっている。

 「特に難しいのはポップスのほうですね。ヒット曲って、誰もが歌詞とメロディーをワンセットで覚えているでしょう。それを一編の詩として、いったいどう読んだらいいのか。これもまた、私にはとても高いハードルです」

 とはいえ、一度やると決めた以上は100 %以上のエネルギーを注ぐ若村さん。これまで松本隆さんが手掛けた約2000曲の中から300 曲の歌詞を熟読し、今回のイベントにふさわしい歌詞を松本さんと共にセレクトしたという。

「300 曲の歌詞をじっくり読むのは、正直かなりハードでした。恋愛ものが多いので、好きとか嫌いとか、別れるとかの感情にどっぷりハマり、恋まみれになっちゃって(笑)。それも私がドラマの中では演じたことのない、初々しい乙女の頃の恋愛感情のオンパレード! とても新鮮な体験でしたね」

松田聖子の「赤いスイートピー」を始め、太田裕美の「木綿のハンカチーフ」、竹内まりやの「SEPTEMBER 」など、どの曲の歌詞を朗読するかは、当日までのお楽しみ。

「私の朗読を村治佳織さんのギターで聴いていただき、『この曲って、こういう世界観だったのか』と、新鮮に感じてもらえたらいいですね。『こんなふうに解釈できる詩だったのか』と、新たに感じてもらえたら嬉しいです」

 イベントの最後には、“あの名曲”をみんなで一緒に歌う予定もあるとか。松本隆ファンならずとも、大いに興味をそそられる一夜になることうけあいだ。

  • 出演:若村麻由美(わかむら まゆみ)

    東京都生まれ。無名塾出身。NHK連続テレビ小説『はっさい先生』でヒロインとしてデビュー。エランドール新人賞を皮切りに、数々の賞を受賞。最近の連続ドラマ『沈まぬ太陽』『美しき罠』『ホテルコンシェルジュ』他。映画『臨場』『蒼き狼〜地果て海尽きるまで』『月光の夏』他。舞台『シラノ・ド・ベルジュラック』『リア王』『マクベス』『オレアナ』『テレーズ・ラカン』『令嬢ジュリー』『カリギュラ』他でヒロインを務め、今年は『頭痛肩こり樋口一葉』幽霊花螢役で出演。05年より原典による『平家物語』をライフワークとしている。また、ヒマラヤトレッキングをきっかけに02年より富士山清掃を継続中。

    

公式サイトhttp://tristone.co.jp/actors/wakamura/
    公式ブログhttp://syunca.at.webry.info/

    「原典・平家物語を聴く会 公式サイトhttp://www.heikemonogatari.jp/

    公演情報

    ①舞台「頭痛肩こり樋口一葉」
    2016年8月5日(金)~25日(木)@日比谷シアタークリエ他全国公演
    http://www.tohostage.com/ichiyo2016/

    ②【松本隆の世界~風のコトダマ~】
    ビルボードライブ東京
    2016年9月1日(木)
    1st 開場17:00 開演18:00
    2nd 開場20:00 開演21:00
    http://www.billboard-japan.com/sp/d_news/detail/37331/2

    スタイリスト:岡のぞみ

    スタイリストアシスタント:田口広菜

    <衣装クレジット>
    ニット帽、ニットプルオーバー、文字プリントブラウス、文字プリントスカート(全て ヒロココシノ)
    白スカート( シッタムール/ストックマン)
    白ブラウス(ヨーロピアン カルチャー/ストックマン)
    白ストール(トランジット パーサッチ/トランジット パーサッチ青山店)

    ヘアメイク:長縄真弓

  • 取材/文:内山靖子

    ライター。成城大学文芸学部芸術学科卒。在学中よりフリーのライターとして執筆を開始。専門は人物インタビュー、書評、女性の生き方や健康に関するルポなど。現在は、『STORY』『HERS』(ともに光文社)、『婦人公論』(中央公論新社)などで執筆中。単行本やムックも手掛ける。

  • 撮影:萩庭桂太

    1966年東京生まれ。東京写真専門学校卒業後、フリーランス・カメラマンとして活動開始。
    雑誌、広告、CDジャケット、カレンダー、WEB、等幅広いメディアで活動中。
    ポートレート撮影を中心に仕事のジャンルは多岐にわたる。
    「写真家」ではなく「写真屋」、作家ではなく職人であることをポリシーとしている。
    雑誌は週刊文春など週刊誌のグラビア撮影を始め、幅広い世代の女性ファッション誌の表紙を撮影中。
    http://keitahaginiwa.com/