「父はフランス料理のシェフでした。家にはたくさん料理の専門書があって、私は小さい頃からその本を眺めるのが大好きだったんです。暇さえあれば、料理の写真を見ていました。病気になった父のために料理を作ったときには、きれいに盛りつけると父も喜んで食が進んだものです」

 薬膳を実践しようとしても、食材が手に入りにくく、日常では実践することが難しい。このままでは、薬膳はふだんの食生活から遠い存在になってしまう。そこで役立ったのが、野菜ソムリエとして身につけた野菜の効能に関する知識だ。薬膳の食材でなくても、スーパーに並んでいる食材や調味料にも効能はある。その点に気づいてから、自分流のアレンジを始めた。

「フレンチ薬膳」のベースになっているのは、幼いときに見覚えたフランス料理の盛りつけと、パリの生活で身につけたフランスの家庭料理だ。彼女の料理は見た目が美しく、そのうえ健康や美容にも役立つ。

「薬膳では、人間も自然界の一部という考え方をします。たとえば春先は、冬の間の老廃物が出てくるので、アレルギーや肌荒れが出やすくなります。そういうときには解毒作用のあるものをとり、辛味で皮膚表面にきた邪気を発散させるといいんです。こうした情報を知っていれば、毎日食べるものが変わってくるはずです。料理教室では、薬膳の一般的な知識をお話ししたうえで、実際に調理をして、みんなでいただきます」

 
 CHER VOUS SAKAIの料理教室には、老若男女が集まって仲良く調理をするそうだ。麻布十番という一等地に店を構えてからの物語は、このあとで。

  • 出演:坂井美穂(さかい みほ)

    国際薬膳調理師、フレンチ薬膳プロデューサー。2006年より拠点を日本からパリに移し、モデルとしてパリコレクションなどのショーを中心に活動。現在はフレンチ薬膳プロデューサーとして、身体の内から溢れる美しさや健康を追求した様々なサービスを提案。料理教室やレストランとのコラボレーションイベント・数多くのレシピ提供・商品開発に携わる。テレビ出演等のメディア活動も精力的に展開中。国際薬膳調理師、野菜ソムリエ、パーソナルカラリストの資格を持つ。著書『かんたんフレンチ薬膳 体の内面から美しくなれるレシピ58』(主婦と生活社)。

    坂井美穂のフレンチ薬膳ブログfood therapy
    http://blog.french-yakuzen.com/

    facebookページ
    https://www.facebook.com/french.yakuzen

    CHER VOUS SAKAI
    http://french-yakuzen.com/

    株式会社SAKAI CORPORATIONホームページ
    http://sakaicorporation.com/

    ヘアメイク:今野真樹

    http://www.hanohano8686.com/

  • 取材/文:加藤いづみ

    コピーライター。東京都出身。成城大学文芸学部卒。広告、SP、WEBの企画、コンテンツ開発、コピーライティング、ディレクション、企業PR誌の編集・制作など。
    facebookページ https://www.facebook.com/mi.company

  • 撮影:萩庭桂太

    1966年東京生まれ。東京写真専門学校卒業後、フリーランス・カメラマンとして活動開始。
    雑誌、広告、CDジャケット、カレンダー、WEB、等幅広いメディアで活動中。
    ポートレート撮影を中心に仕事のジャンルは多岐にわたる。
    「写真家」ではなく「写真屋」、作家ではなく職人であることをポリシーとしている。
    雑誌は週刊文春など週刊誌のグラビア撮影を始め、幅広い世代の女性ファッション誌の表紙を撮影中。
    http://keitahaginiwa.com/