堀之内さんは現在、浦和レッドダイヤモンズ株式会社パートナー営業部勤務。ユニフォームを脱ぎ、スーツ姿で働き始めて、丸2年経った。柔らかな物腰、控えめな態度、話していると誠実さがビンビン伝わってくる。

「いえ、まだまだです。サラリーマン経験はゼロだったのでまずは新人研修に行き、大卒の若者に混じって名刺の渡し方や電話の応対、タクシーに乗ったらどの席に座るかまで、勉強しました。最初はワードもエクセルも使えない、コピーの取り方も知りませんでした。サラリーマンは選手より安定していると思われがちですけど、僕と同年代の人間は組織内ですでに中堅として頑張っているわけですから、危機感のほうが大きい。早く追いつき追い越さなきゃいけないと、僕は今も1年1年が勝負だと思って闘ってます(笑)」

 クラブスタッフとして働く今も、チームの試合を見ていると、心が疼く。

「“なんで自分はあのピッチにいないんだろう?”という葛藤は、正直あります。ですからサッカーを趣味として楽しむなんて、できない。夢中になってしまいますからね。代わりになにか気楽にできるスポーツを探していたら、友達に誘われたんです、フットゴルフに」

 初めてのときのスコアは、なんと9アンダー。しかも最終コース(30㍍)でホールインワンという快挙をなしとげた。

「それで、自分はこの競技、いけるって思っちゃったんですね(笑)」

  • 出演:堀之内聖(ほりのうち さとし)

    1979年埼玉県生まれ。Jリーガーとして2002年~2011年浦和レッドダイヤモンズ、2012年横浜FC、2013年モンテディオ山形にて活躍ののち、2014年1月、現役引退。以後、浦和レッズのクラブスタッフとして勤務している。2016年『FIFGアルゼンチンワールドカップ2016』の日本代表に選ばれた。

    日本フットゴルフ協会 オフィシャルサイト http://www.jfga.jp/

    浦和レッドダイヤモンズ オフィシャルサイト http://www.urawa-reds.co.jp

  • 取材/文:岡本麻佑

    国立千葉大学哲学科卒。在学中からモデルとして活動した後、フリーライターに転身。以来30年、女性誌、一般誌、新聞などで執筆。俳優、タレント、アイドル、ミュージシャン、アーティスト、文化人から政治家まで、幅広いジャンルの人物インタビューを書いてきた。主な寄稿先は『éclat』『marisol』『LEE』『SPUR』『MORE』『大人の休日倶楽部』など。新書、単行本なども執筆。

  • 撮影:萩庭桂太

    1966年東京生まれ。東京写真専門学校卒業後、フリーランス・カメラマンとして活動開始。
    雑誌、広告、CDジャケット、カレンダー、WEB、等幅広いメディアで活動中。
    ポートレート撮影を中心に仕事のジャンルは多岐にわたる。
    「写真家」ではなく「写真屋」、作家ではなく職人であることをポリシーとしている。
    雑誌は週刊文春など週刊誌のグラビア撮影を始め、幅広い世代の女性ファッション誌の表紙を撮影中。
    http://keitahaginiwa.com/