太鼓という楽器は近年、ずいぶんポピュラーなものになってきた。昔はお祭りや盆踊りの会場で見かけるだけ。それも地元の人間に限る、しかも男しか触れない、なんて理不尽なルールもあったという。

「それが今、女性でもいい、地元の人間じゃなくてもいい、新しい表現に向かうこともできる。伝統という縛りがなくなった途端、誰でもできるものになったんです。祭じゃなくても季節や行事に関係なくいつでもできるようになったので、地域活性化につなげるところも多いですね」

 そこで注目されるのが、太鼓の音の不思議なパワー。

「子どもが太鼓を習うことで立ち直るという話をあちこちで聞きます。家庭環境が悪かったり、不登校児だったり、ちょっとやんちゃな子が、太鼓にはなぜか夢中になって、その結果自信を取り戻したり、元気になったりするらしい。子どもだけじゃなく大人も、そういう人が多いですよ」

 聴いても打っても元気になる。太鼓、お薦めです!

  • 出演:林英哲(はやし えいてつ)

    1952年広島県生まれ。71年『佐渡・鬼太鼓座』の創設に参加。トッププレイヤーとして活動後、81年『鼓童』創成期の演出を担当。82年太鼓独奏者として活動を開始。84年にNY・カーネギーホールデビュー。2000年にはベルリン・フィルと共演。近年では和・洋器楽奏者や伝統芸能の能・歌舞伎等の囃子方、歌舞伎舞踊やコンテンポラリーダンス、バレエのプリンシバルなど、若手アーティストとの共演も多い。今もなおパイオニアとしてジャンルを超えた世界のアーティストやオーケストラと共演しながら、太鼓の新しい音楽を創造しつづけている。CD、DVDなど多数。
    近著に『太鼓日月 独走の軌跡』(講談社刊)ほか。
    2016年には演奏活動45周年、2017年にはソロ活動35周年を迎える。
    オフィシャルサイト http://eitetsu.net

    【コンサート情報】

    林英哲コンサートスペシャル2015(2016年演奏活動45周年前夜祭コンサート)
    『集え! 寿(ことほ)ぎの歌』12月14日(月)Bunkamuraオーチャードホール 開場18:00開演18時30分/特別ゲスト 山下洋輔、上妻宏光
    問い合わせ:東京音協03-5774-3030(平日11:00~17:00)http://t-onkyo.co.jp/

    林英哲コンサート2015
    2015年12月20日 沼津市民文化センター小ホール 開場17:00開演17:30
    問い合わせ:イーストン055-931-8999

    『2016年演奏活動45周年 林英哲 新春スペシャルコンサート2016』
    2016年1月3日 大阪・森ノ宮ピロティホール 12時開場13時開演
    問い合わせ:キョードーインフォメーション0570-200-888

    2016年2月フランス・ナント市で開催されるラ・フォル・ジュルネ出演予定

    2016年11月1日(火)サントリーホールで林英哲演奏活動45周年記念公演、東京公演が決定。

  • 取材/文:岡本麻佑

    国立千葉大学哲学科卒。在学中からモデルとして活動した後、フリーライターに転身。以来30年、女性誌、一般誌、新聞などで執筆。俳優、タレント、アイドル、ミュージシャン、アーティスト、文化人から政治家まで、幅広いジャンルの人物インタビューを書いてきた。主な寄稿先は『éclat』『marisol』『LEE』『SPUR』『MORE』『大人の休日倶楽部』など。新書、単行本なども執筆。

  • 撮影:萩庭桂太

    1966年東京生まれ。東京写真専門学校卒業後、フリーランス・カメラマンとして活動開始。
    雑誌、広告、CDジャケット、カレンダー、WEB、等幅広いメディアで活動中。
    ポートレート撮影を中心に仕事のジャンルは多岐にわたる。
    「写真家」ではなく「写真屋」、作家ではなく職人であることをポリシーとしている。
    雑誌は週刊文春など週刊誌のグラビア撮影を始め、幅広い世代の女性ファッション誌の表紙を撮影中。
    http://keitahaginiwa.com/