映画関係者が集まるパーティで、ひときわ目立っていたのがチャーミングなこのふたり。映画監督のキムジョ・グァンスさんとバイヤーをしているキム・スンファンさんだ。ふたりは2013年9月にソウル市庁舎前で屋外結婚式を挙げ、役所に婚姻届を提出。残念ながら韓国では同性婚は認められていないため、受理されなかった。当日、ふたりの結婚に賛成する人達と反対派の人達が市庁舎前の広場でにらみ合い、乱闘寸前になるひと幕もあったとか。キムジョ・グァンスさんは2006年、韓国で初めて同性愛を正面から描いた映画『後悔なんかしない』を制作したことでも知られている。

「韓国はとてもコンサバな国だけど、この10年で大分変わってきました。僕自身、2006年までカミングアウトできなかったからね。でも今、僕たちは同性同士の婚姻関係を認めるように求めて訴訟を起こしています。まだ当分裁判は続くけど、韓国の社会がより良い方向に向かってくれるよう、願っています」

 付き合い始めてもう11年。20歳も年齢の違う年の差カップルだけど、ふたりはとても仲良し。ふたりを見つめるみんなの目もあたたかい。

「裁判の結果を待ちながら、僕たちの記録をドキュメンタリー作品にするつもりです。ふたりとも、映画人としてのプライドがありますからね(笑)」

  • 取材/文:岡本麻佑

    国立千葉大学哲学科卒。在学中からモデルとして活動した後、フリーライターに転身。以来30年、女性誌、一般誌、新聞などで執筆。俳優、タレント、アイドル、ミュージシャン、アーティスト、文化人から政治家まで、幅広いジャンルの人物インタビューを書いてきた。主な寄稿先は『éclat』『marisol』『LEE』『SPUR』『MORE』『大人の休日倶楽部』など。新書、単行本なども執筆。

  • 撮影:萩庭桂太

    1966年東京生まれ。東京写真専門学校卒業後、フリーランス・カメラマンとして活動開始。
    雑誌、広告、CDジャケット、カレンダー、WEB、等幅広いメディアで活動中。
    ポートレート撮影を中心に仕事のジャンルは多岐にわたる。
    「写真家」ではなく「写真屋」、作家ではなく職人であることをポリシーとしている。
    雑誌は週刊文春など週刊誌のグラビア撮影を始め、幅広い世代の女性ファッション誌の表紙を撮影中。
    http://keitahaginiwa.com/