宝塚で活動している間、白羽さんは徹底的に〝娘役であること〟にこだわっていた。

「ステージ上だけでなく、劇場に出入りするときにも、宝塚ファンの方たちが大勢見ています。私のファンだけじゃなく、男役さんのファンの方も、相手役を勤める私のことをご覧になる。ですからそのイメージを絶対に壊してはいけない、と思っていました。ちょっと可愛くて夢のある洋服を、プライベートでもずっと着ていました」

 その結果、宝塚を辞めるときには、ヒラヒラのブラウスやワンピース、帽子にバッグ、フリル付きの稽古着が、なんとひと部屋にぎっしり、たまっていたとか。

「それぜーんぶ、後輩のコたちにあげちゃいました!」

 そこからは、自分が本当に着たいものを、探し始めた。行き着いたのは、

「タンクトップにジーパンでした(笑)。スニーカーも持っていなかったので、30代にして生まれて初めてスニーカーを買ったんですよ! 化粧も嫌いで、スッピン大好き。ふだんは手鏡ひとつ、持ち歩きません。バッグも機能的なものが好きで、最低限シンプルに」

 お姫さまドレスを脱ぎ捨てたら、身軽になった?

「というか、オジサンぽいって(笑)。男らしいって言われます」

  • 出演:白羽ゆり(しらはね ゆり)

    1978年生まれ。福島県出身。98年に宝塚歌劇団に入団。05年に星組トップ娘役に、07年からは雪組トップ娘役をつとめ、『エリザベート』のタイトルロールなど大役を演じた。09年に退団して女優に。『シェルブールの雨傘』のジュヌヴィエーブ役、『銀河英雄伝説』のアンネローゼ役などを演じ、昨年から『ピーターパン』のダーリング夫人、タイガー・リリー役にも挑戦。活躍の場を広げている。

    オフィシャルブログ http://ameblo.jp/yuri-shirahane/

    『ピーターパン』

    7月20日(月・祝)~30日(木)東京国際フォーラム ホールC
    ホリプロチケットセンター03-3490-4949
    ホリプロオンラインチケット http://hpot.jp

  • 取材/文:岡本麻佑

    国立千葉大学哲学科卒。在学中からモデルとして活動した後、フリーライターに転身。以来30年、女性誌、一般誌、新聞などで執筆。俳優、タレント、アイドル、ミュージシャン、アーティスト、文化人から政治家まで、幅広いジャンルの人物インタビューを書いてきた。主な寄稿先は『BAILA』『éclat』『marisol』『LEE』『SPUR』『MORE』『大人の休日倶楽部』など。新書、単行本なども執筆。

  • 撮影:萩庭桂太

    1966年東京生まれ。東京写真専門学校卒業後、フリーランス・カメラマンとして活動開始。
    雑誌、広告、CDジャケット、カレンダー、WEB、等幅広いメディアで活動中。
    ポートレート撮影を中心に仕事のジャンルは多岐にわたる。
    「写真家」ではなく「写真屋」、作家ではなく職人であることをポリシーとしている。
    雑誌は週刊文春など週刊誌のグラビア撮影を始め、幅広い世代の女性ファッション誌の表紙を撮影中。
    http://www.haginiwa.com/