#3 樋口亜弓~汗と涙で磨き上げた声~
桑山哲也のビストロ"ヌーベル・シャンソン"
- Magazine ID: 1917
- Posted: 2014.12.17

「客席で亜弓ちゃんの歌を聴いて、涙を流している人、多いよね」
今回のコンサートで同じステージに立つ、えりんぬさんが、そう言っていた。思いを込めて歌う彼女の声は、深くて、柔らかくて、静かに心の奥に入り込んでくる。そんな彼女がシャンソンを初めて知ったのは、銀座の小さなお店にて。
「高校を卒業して4日目に、九州の実家から東京に出てきたんです、ひとりで、歌手になるために。親からお金をもらうのは嫌だったので、日払いでもらえる引っ越し屋のアルバイトをしていました。そのときの運転手さんが、銀座には歌を歌える場所があると教えてくれたんです。携帯を検索したら小さなシャンソンBARを見つけて、ここでシャンソンを覚えて歌っていけば、私はまだ東京にいられるかもしれないと思い、必死で覚えて・・・・」
その店で聴いた「はかない愛だとしても」という曲に、魂を奪われた。その歌を得意とするパトリシア・カースという歌手に、夢中になった。そこで今度は1年間、パリへ。
「ワーキング・ホリデーで、コンビニやラーメン屋さんで働きながら、パリを実感しました。向こうの空気とか発音をちょっと学んだことで、またいっそうシャンソンというジャンルが好きになれたと思います」
汗と涙を流してきた分、彼女の歌には磨きがかかったのかもしれない。
「私自身が歌に救われてきたので、これからは私が歌で誰かを力づけたり、感動を伝えたいんです。まだ全然仕事がない頃、カラオケ・ボックスで中島みゆきさんの『時代』を歌いながら、ぼろぼろ泣いていました。〝いつか笑って話せる〟日が、本当に来るのかしらって。それから10年も経っていないのに今、こんなに幸せだよって、昔の自分に言ってあげたい。歌にはやっぱり、すごい力があるんですね」
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出演:樋口亜弓(ひぐち あゆみ)
大分県出身。高校卒業後に上京。四谷三丁目にあるワールド・ミュージック・ライブハウス『una canzone』を中心に歌い始める。2009年に1年間フランスに遊学。現在は都内を中心にシャンソン、カンツォーネ、ポップス、自身のオリジナルなどジャンルにこだわらずに歌っている。
樋口亜弓オフィシャル・ブログ http://ameblo.jp/higuayu0625/
桑山哲也のビストロ”ヌーベル・シャンソン” インフォメーション http://www.horipro.co.jp/kuwayamatetsuya/
衣装協力:Yohji Yamamoto Inc.
撮影協力:Royal Garden Cafe 青山 http://www.royal-gardencafe.com/shop_aoyama.html
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取材/文:岡本麻佑
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撮影:萩庭桂太
1966年東京生まれ。東京写真専門学校卒業後、フリーランス・カメラマンとして活動開始。
雑誌、広告、CDジャケット、カレンダー、WEB、等幅広いメディアで活動中。
ポートレート撮影を中心に仕事のジャンルは多岐にわたる。
「写真家」ではなく「写真屋」、作家ではなく職人であることをポリシーとしている。
雑誌は週刊文春など週刊誌のグラビア撮影を始め、幅広い世代の女性ファッション誌の表紙を撮影中。
http://www.haginiwa.com/