毎朝、太陽の光を浴びてパワーを充電するとともに、若村さんに欠かせない日課になっているのが、1日に1度、富士山を見ることだ。

 「東京生まれで、これまでに何度か引っ越しもしたけれど、実はこれまで富士山の見えない家に住んだことがないんです。子どもの頃から、朝、窓を開けたときに、“今日の富士山は?”と、その姿を眺めてから学校に行っていました。大人になって自分で住まいを決めるようになってからも、そこから富士山が見えるかどうかが、私には重要なポイントなんですよ」

 幼い頃から大好きだった富士山。その思いは、トレッキングの仕事で約1カ月間、ヒマラヤで過ごしてからも変わらない。

 「標高5545mのカラパタール山頂から、世界一のエベレストを眺めることが目的で、毎日ヒマラヤ山脈を見上げて過ごすという素晴らしい体験をしてきました。なのに、いざ日本に帰ってきて富士山を見たら、こんなに美しい山は他にないと、思わず涙がこぼれてきちゃって」

 だが、アルピニストの野口健さんと仕事をしたときに、そんな美しい富士山が実はゴミだらけだと聞かされた。さらに、その富士山のゴミを片づけるため、野口さんが清掃ボランティア活動を始めたことも。

 「その活動に、私もすぐに参加することを決めました。大好きな富士山がゴミだらけと聞いて、すごくショックだったので」

 それが2002年のこと。以来、今日に至るまで、若村さんは毎年、富士山の清掃ボランティアを行っている。最初は参加者の一員だったのが、今では清掃隊長に。全国各地から自費で集まる200 人のボランティアさんたちを率いて、約2時間、富士山のゴミ拾いに精を出す。

 「ここ数年は樹海を中心にゴミ拾いをしてるんですが、産業廃棄物のゴミが、まあ、出るわ、出るわ。車、タイヤ、テレビや冷蔵庫なんていうのはあたりまえ。昔の住宅で使っていた陶器の和式便器が山ほど捨ててあったのを見たときは、まるで現代アートみたいだなって(笑)。他にも、子どもの頃飲んでいた懐かしいジュースの空き缶を見つけたり。宝探しのようで、けっこう面白いんですよ」

 200 人のボランティアで2時間みっちりゴミを拾うと、たちまち2~3トンものゴミが集まるそう。

 「大好きな富士山がきれいになってうれしいのはもちろんですが、ゴミを拾うことで自分の心もリセットされる気がします。清掃活動が終わった後は、みんな自然と笑顔になっている“すっかりきれいになったね”と胸を張って言えるまで、この活動は続けていきたいですね」

 仕事以外の時間で、意外なボランティア活動に勤しんでいる若村さん。プライベートなオフタイムは、どんなふうに過ごしているのだろう?

  • 若村麻由美

    東京都生まれ。無名塾出身。NHK連続テレビ小説『はっさい先生』でヒロインとしてデビュー。エランドール新人賞を皮切りに、数々の賞を受賞。ドラマ『夜桜お染』『白い巨塔』『Wの悲劇』『鴨、京都へ行く。』『科捜研の女』、映画『蒼き狼~地果て海尽きるまで』『臨場』、舞台『リア王』『マクベス』『カリギュラ』『テレーズ・ラカン』『頭痛肩こり樋口一葉』『鉈切り丸』ほか多数出演。

    最新舞台『ブレス・オブ・ライフ』新国立劇場 10月8日(水)~10月26日(日)、兵庫・兵庫県立芸術文化センター阪急中ホール 11月1日(土)

    クリスマス特別公演『未来創伝』語舞踊『書く女』京都・京都芸術劇場春秋座12月25日(水)

    公式サイトhttp://www.tristone.co.jp/
    公式ブログ http://syunca.at.webry.info/
    『ブレス・オブ・ライフ』公式サイトhttp://www.nntt.jac.go.jp/play/performance/141001_003729.htm
    『未来創伝』公式サイトhttp://thinkplus.heteml.jp/miraisouden.com/
    「原典・平家物語を聴く会」公式サイトhttp://www.heikemonogatari.jp/
    「富士山クラブ」公式サイトhttp://www.fujisan.or.jp/

  • スタイリスト:岡のぞみ

    アシスタント:日吉奈緒子

    衣装協力:ジャケット ヒロココシノ プルミエ
    ( ヒロココシノインターナショナル
    03-3475-5346 )
    http://www.hirokokoshino-international.com/

    ヘア:土屋雅之(Aio-N GINZA) 

    メイク:森下真奈美(Aio-N GINZA) 

    http://www.aio-n.com/

    取材・文:内山靖子

    ライター。成城大学文芸学部芸術学科卒。在学中よりフリーのライターとして執筆を開始。専門は人物インタビュー、書評、女性の生き方や健康に関するルポなど。現在は、『STORY』『HERS』(ともに光文社)、『婦人公論』(中央公論新社)などで執筆中。

  • 撮影:萩庭桂太

    1966年東京生まれ。東京写真専門学校卒業後、フリーランス・カメラマンとして活動開始。
    雑誌、広告、CDジャケット、カレンダー、WEB、等幅広いメディアで活動中。
    ポートレート撮影を中心に仕事のジャンルは多岐にわたる。
    「写真家」ではなく「写真屋」、作家ではなく職人であることをポリシーとしている。
    雑誌は週刊文春など週刊誌のグラビア撮影を始め、幅広い世代の女性ファッション誌の表紙を撮影中。
    http://www.haginiwa.com/