山中千尋の新作『サムシン・ブルー』のオープニング、タイトルチューンの「サムシン・ブルー」の導入部はルーズなホーン。1950年代のジャズを思わせる。

 ピアノの響きもレトロ。いつもの弾きまくる山中の演奏とはまったく違う演奏を楽しませてくれる。

「今回の作品は名門レーベル、ブルーノートからリリースされるので、ブルーノートらしさを意識しました。ブルーノートにはドナルド・バードとかデューク・ピアソンという名プロデューサーがいましたが、彼らが生きていたらどんな音を作るかをイメージして」

 その象徴が「サムシン・ブルー」だった。

「アナログを意識して、精度よりも温かみを大切に録音してみたんですよ。今回レコーディングを行ったニューヨークのダウンタウン、イーストサイド・スタジオには古いマイクがたくさんあったので、1950年代や60年代のマイクをミックスして、レトロな音を作ったんです」

 録音はボストンのバークリー音楽院の同級生中心のメンバーで行った。

「いつもは、アグレッシヴな演奏をしている人たち。でも、今回はあえて自分たちのスタイルではなく古き良きジャズに徹しました。楽しかったあー」

『サムシン・ブルー』

2014年7月16日発売
通常盤¥2,800+税 初回限定盤(CD+DVD)¥3,500+税
http://www.universal-music.co.jp/chihiro-yamanaka

  • 山中千尋

    福島県生まれ、群馬県育ち。ジャズピアニスト、作曲家、アレンジャー、プロデューサー。米ボストンのバークリー音楽大学を首席で卒業し、アルバム『リヴィング・ウィズアウト・フライデイ』でデビュー。『アピス』『レミニセンス』などのアルバムを発表。最新作は『サムシン・ブルー』(ユニバーサル ミュージック。)3曲の映像を収録したDVD付限定盤も同時リリース。8曲収録のアナログレコードも発売中(¥5,556+税)。9月26日(金)、27日(土)にはブルーノート東京で『サムシン・ブルー』のショーを行う予定。http://www.bluenote.co.jp/jp/
    山中千尋オフィシャルサイト http://www.chihiroyamanaka.com/
    山中千尋ツイッター https://twitter.com/ChihiroYamanaka

  • 取材・文:神舘和典

    1962年東京都出身。音楽を中心に書籍や雑誌のコラムを執筆。ミュージシャンのインタビューは年間約70本。コンサート取材は年間約80本。1998年~2000年はニューヨークを拠点にその当時生存したジャズミュージシャンをほぼインタビューした。『ジャズの鉄板50枚+α』『音楽ライターが、書けなかった話』(以上新潮新書)、『25人の偉大なジャズメンが語る名盤・名言・名演奏』(幻冬舎新書)、『上原ひろみ サマーレインの彼方』(幻冬舎文庫)など著書多数。

    新潮新書 http://www.shinchosha.co.jp/writer/1456/
    幻冬舎新書 http://www.gentosha.co.jp/book/b4920.html

撮影協力:Music & Dining Bar La Cuji ラクジ 文京区根津2-26-1
撮影:萩庭桂太