本日ご登場いただくのは、藤さんが自分の専属モデルと言って憚らない、ドラム奏者の芳垣安洋さんだ。ドイツからの帰国後に出会い、めがね好きのご夫妻(奥様はヴィブラフォン奏者の高良久美子さん)と意気投合、以来藤さんがお二人のめがねのスタイリングを担当している。

「50歳以降になると、調節力、眼の筋肉の適応能力が衰えるので、用途に合わせてレンズの種類を変えるといいです。今までは遠近両用1本でも、だんだんまかなえなくなる。めがねとレンズをセットで買うと高価なので、手持ちのめがねのレンズだけを買い替えるという方法もありますよ」

 お会いした瞬間にめがねの上級者とわかる芳垣さん。カッコいい。この日は、藤さんに預けてあるめがねも含め、手持ちのめがねのレンズを替えるために7本のめがねが用意された。

 まず、現在の眼の状態を検査した上で、どんなレンズに替えるか、藤さんと一緒に検討する。レンズの用途は、日常用、ステージ用、PC用の3種類だ。

「日常用は、HOYAの調光レンズの遠近両用。加齢により、まぶしさを感じやすくなっていますが、外に出るたびにサングラスに掛け替えるのはめんどう。調光レンズなら、紫外線に当たると色が変わって、眼を保護してくれます。1本で近視、老眼、紫外線カットに使えます」

「ステージ用の場合、ドラムの演奏中は近くをみることがないので、少し矯正度数を落とした単焦点レンズ。ZEISSのレンズは単焦点でも視力に合わせた最適化が出来るので、見え方がよりクリアに。強度数の方には特におすすめです。しかもレンズの透明度が高いので、見た目もよく、ライブにいいですね」

「PC作業をするときは少し遠くにあるものも見えて、遠近両用より近くの視野が広い中近両用がおすすめ。ブルーカットのコーティングはいろいろあるけれど、ニコンは透明度も高く品質の評判もいい。初めてブルーカットコーティングを製作したのもニコンです。メールチェックをしているときに、テレビや壁時計を見たくなっても、いちいち掛け替えなくて大丈夫です」

 7本のうち、どのめがねのレンズを替えるか。あれがいい、これは違うとめがねを出したり、しまったり。その度に芳垣さんがめがねを扱う丁寧な仕草に、めがねとの付き合いの長さ、めがねへの愛着が感じられた。それにしてもこの二人、めがねの話でいくらでも盛り上がる。

 さて、レンズ選びが大切なことはわかるけど、やっぱりカッコいいめがねをかけたいと思うのが人情だ。藤さん、誰でも芳垣さんのようにめがねが似合う大人になれますか?

今回おすすめしたレンズ

HOYA / HOYA LUX LSV + SUNTECH
http://www.vc.hoya.co.jp/
Carl Zeiss Japan / Zeiss Free Form Single Vision シリーズ
http://vision.zeiss.com/better-vision/ja_jp/home.html
Nikon / Nikon SEE CLEAR BLUE PREMIUM
http://www.nikon-lenswear.jp/products/progressive_02/presiohando.htm

  • 出演:藤 裕美

    1977年福岡県生まれ。眼鏡スタイリスト。10年間、眼鏡店で働きながら彫金技術を学び、ネジからすべてめがねを製作、個展も開く。2001年、24歳のときに店長としてショッププロデュース、買い付け、さまざまなイベントを企画。2007年、ドイツへ渡り、めがねブランド「FROST」に勤務。海外のめがねブランドのデザイナーや眼鏡店と交流を深め、他国のめがね文化を知る。帰国後、2009年から眼鏡スタイリストとして活動を開始。いとうせいこう氏との出会いにより、HP「眼鏡予報」をスタート。著名人のスタイリングや、誌面でのスタイリング、講演会、デザインアドバイスなど、めがねにまつわることを何でも手がける。また「KODOMO眼鏡プロジェクト」や、老人ホームでのボランティアなど活動の場をさらに広げている。
    8/31(土)23:00~「心ゆさぶれ!先輩 ROCK YOU」(日本テレビ系)に出演します。
    http://www.ntv.co.jp/rockyou/

    「眼鏡予報」 http://glasses-o-o-brille.com
    『めがねを買いに』(WAVE出版)定価1,680円
    http://www.wave-publishers.co.jp/np/isbn/9784872905373/

  • モデル:芳垣 安洋

    「ジャズ、ロック、ファンク、歌ものから民族音楽、現代音楽、即興まで……ジャンルを飛び越えてビートとメロディーを紡ぐ打楽器奏者!!!」
    兵庫県出身。関西学院大学在学中より関西のジャズエリアでキャリアをスタート、モダン・チョキチョキズに参加後上京。’90年代中期以降、渋さ知らズ、大友良英Ground Zero、ONJO、ROVO、DCPRGなどのジャズ~アヴァン・ポップを牽引したバンドのメンバーとして活動。渋谷 毅、山下洋輔、坂田明、菊地成孔、南博、長谷川きよし、おおはた雄一、カルメン・マキ、カヒミ・カリィ、UAなど様々なジャンルのミュージシャンと共演し、ライブやレコーディングに参加する他、大編成ジャズグループ「オルケスタ・リブレ」打楽器アンサンブル「オルケスタ・ナッジ!ナッジ!」など多様なグループを主宰している。欧米の音楽祭への出演や来日ミュージシャンとの共演も多く、海外では即興音楽家としての評価も高い。日本唯一の打楽器専門誌「リズム&ドラムマガジン」にコラムを連載中。また、文学座などの舞台演劇や映画の音楽制作にも数多く携わる。今年は話題の朝ドラのテーマや大河ドラマの劇中曲のドラム、パーカッションも演奏している。
    http://y-yoshigaki.com/

  • 取材・文:加藤いづみ

    コピーライター。東京都出身。成城大学文芸学部卒。広告、SP、WEBのコピーライティング、企画のほか、1996年より某企業のPR冊子(月刊)制作を継続して手がけている。

ヘアメイク:茂手山貴子 http://moteyama.com/
撮影協力:リネット・ジュラ グラン http://www.jurajura.jp/shop/shop-grand.html
取材協力:GLOSS http://www.gloss-eyes.com
撮影:萩庭桂太