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「健康診断で視力が2.0だったとか、私は目がいいんです、という方はたくさんいますが、一体いつの視力検査の話ですか? ということが多いです」

 長年にわたって眼鏡店で働いてきた藤さんだから言える、ちょっときびしいお言葉。今さら学生時代の健康診断の結果を言われてもねえ、と思うことが少なからずあったようだ。本人は1.5見えているつもりが、検査をしてみたら0.7しか見えていない、ということも。意識することなく見えていることで、私たちは自分自身の目について無頓着になっているかもしれない。

 眼科や眼鏡店の検査では、視力以外にもさまざまな情報が得られる。遠視か近視か乱視か、瞳孔距離、利き目など、自分自身の眼について知るのは大切なことだ。一度きちんと検査をしておけば、のちに見え方が変わったときの参考にもなる。

「40~45歳の間に眼科に行って、検査を受けることをお勧めします。老眼や病気などによって視力が変わりやすい時期ですから」

 目の検査は、時間をかけずに簡易的に行なわれるものもあるが、専門医や専門店で正しい数値を検査してもらいたい。もし視力が悪かった場合には、検査結果がめがねを作る処方箋になるので、適当な検査をされてしまったら大変だ。

「日頃めがねをかけている人も、現在の自分に合っているめがねかどうかを確認してほしい。めがねを雑貨やアクセサリー感覚で買っている人もいるけれど、めがねは医療器具ですから」

 めがねは医療器具。視力を矯正するためにある。当たり前のことを言われてハッとする。目が悪いのに、自分の目に合っていないめがねをかけることは、すでに目的を外れていることになるわけだ。

 いい加減な検査や、合わないめがねは、何年か後に思わぬ形で自分に返ってくる。ときには目だけでなくほかの部分の健康を害する場合もあるのだ。そのためにも、正しい検査をしておきたい。

 検査の結果、視力が落ちてきていることがわかったら、めがねを作らなければならない。それでは、眼鏡店に行ってみよう。

  • 出演:藤 裕美

    1977年福岡県生まれ。眼鏡スタイリスト。10年間、眼鏡店で働きながら彫金技術を学び、ネジからすべてめがねを製作、個展も開く。2001年、24歳のときに店長としてショッププロデュース、買い付け、さまざまなイベントを企画。2007年、ドイツへ渡り、めがねブランド「FROST」に勤務。海外のめがねブランドのデザイナーや眼鏡店と交流を深め、他国のめがね文化を知る。帰国後、2009年から眼鏡スタイリストとして活動を開始。いとうせいこう氏との出会いにより、HP「眼鏡予報」をスタート。著名人のスタイリングや、誌面でのスタイリング、講演会、デザインアドバイスなど、めがねにまつわることを何でも手がける。また「KODOMO眼鏡プロジェクト」や、老人ホームでのボランティアなど活動の場をさらに広げている。
    8/31(土)23:00~「心ゆさぶれ!先輩 ROCK YOU」(日本テレビ系)に出演します。
    http://www.ntv.co.jp/rockyou/

    「眼鏡予報」 http://glasses-o-o-brille.com
    『めがねを買いに』(WAVE出版)定価1,680円
    http://www.wave-publishers.co.jp/np/isbn/9784872905373/

  • 取材・文:加藤いづみ

    コピーライター。東京都出身。成城大学文芸学部卒。広告、SP、WEBのコピーライティング、企画のほか、1996年より某企業のPR冊子(月刊)制作を継続して手がけている。

ヘアメイク:茂手山貴子 http://moteyama.com/
撮影協力:リネット・ジュラ グラン http://www.jurajura.jp/shop/shop-grand.html
撮影:萩庭桂太