日本は母のよう、韓国は父のよう
玄里
- Magazine ID: 1280
- Posted: 2013.06.21
韓国映画、日本映画、そしてドラマ、舞台、CM。日仏合作の『フレア』やポルトガル人監督ペドロ・パルマの『Time Zone』にも出演した。活躍の場は広がるばかりだが、ハリウッド進出への夢などはないのだろうか。
「どっちつかずになってしまって、何かをつかめるほど生易しい仕事じゃないと思うんです。日本にまだまだ一緒に仕事してみたい方がたくさんいます。商業映画も自主映画も学生映画だって面白いと思ったらやります。境界線なんてなくていい。弟が駆け出しの映画監督なので彼らがキャスティグに如何に苦労してるかも分かる。映画を通して演技を通して、人とつながれたらいいな、と思います。でも5年後はどこにいるかわからないな」
血は韓国。でもホームタウンは東京だ。
「留学して帰ってきたとき、帰ってきたなーと思った。韓国に留学したときはパーソナルゾーンにわしわし入ってくるような距離感に慣れるまで半年くらいかかった。でもだんだん距離感の近さが心地よくなって。日本では感じたことのない類いの安心感もあった。二つの国を親にたとえたら、日本は母のよう、韓国は父のよう。何をしてくれたわけではないけど、繋がってる父なんだなあと」
最後にこんなことをつぶやいた。
「愛に囲まれて育ったわけじゃないけれど、私は愛が何かを知ってる。それは何度か『ああ、これが愛だ』と思った瞬間があるから」
私はインタビュアーというのは相手の気持ちをくみ取る職業で、自分自身の感情をさらけだす出すものではないといつも思っている。
でも、その彼女の言葉を聞いたときには、胸がいっぱいになって、何も言えなくなった。
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出演:玄里(ヒョンリ)
1986年東京都生まれ。韓国籍。青山学院大学法学部卒業。4年時に韓国・延世大学に留学、映像演技を専攻。英語、韓国語、日本語を話す。韓国映画、日本映画に多数出演。今年になって『夜の途中』『水の声を聞く』の主演作の他4本の映画が公開されている。大河ドラマ『八重の桜』では西郷由布役を好演、ますますの飛躍が期待されている。ケイダッシュグループのアワーソングスクリエイティブ所属。
http://www.oursongs-creative.jp/profile/hyunri/ -
取材・文:森 綾
大阪市生まれ。スポニチ大阪文化部記者、FM802開局時の編成部員を経て、92年に上京後、現在に至るまで1500人以上の有名人のインタビューを手がける。自著には『マルイチ』(マガジンハウス)、『キティの涙』(集英社)(台湾版は『KITTY的眼涙』布克文化)など、女性の生き方についてのノンフィクション、エッセイが多い。タレント本のプロデュースも多く、ゲッターズ飯田の『ボーダーを着る女は95%モテない』『チョココロネが好きな女は95%エロい』(マガジンハウス)がヒット中。
ブログ「森綾のおとなあやや日記」 http://blogs.yahoo.co.jp/dtjwy810
ヘアメイク:茂手山貴子 http://moteyama.com/
撮影:萩庭桂太