生まれ育った日本に帰国後も、吸収しようという気持ちは揺るがない。習い事にも積極的だ。

「特に日舞はやってよかったですね。昔ながらに、日本人が大事にしてきた何をもって美とするか、ということを身体で感じられるんです。歴史のあるものに身体を寄せてみると、心で感じるようになることが多い気がします」

 先生の厳しさにも、しゃんとできる。

「きものを着て、畳の上にいると、ぴっとします。『気を遣ってなんぼよ』と言われると、なるほどなと思います。大事なことって、とてもシンプルなんですよね」

 楚々と振る舞う日舞の一方で「ジャイロトニック®」という身体中の関節で円を描くというトレーニングにも通う。

「ジャイロキネシスのおかげで360度開脚もできるようになりましたよ。関節の可動域を広げると、表現が広がると思うので」

 360度と彼女は言うが、ぐるっと片足ずつ180度に開いて円を描くような動きをするのだ。

 バレエ、ヨガ、乗馬と身体を動かすことにも余念がない。

「私はどの国に行っても身体一個あれば生きていける人になりたいんです。俳優はそういう意味で、私に向いている職業だと思います」

  • 出演:玄里(ヒョンリ)

    1986年東京都生まれ。韓国籍。青山学院大学法学部卒業。4年時に韓国・延世大学に留学、映像演技を専攻。英語、韓国語、日本語を話す。韓国映画、日本映画に多数出演。今年になって『夜の途中』『水の声を聞く』の主演作の他4本の映画が公開されている。大河ドラマ『八重の桜』では西郷由布役を好演、ますますの飛躍が期待されている。ケイダッシュグループのアワーソングスクリエイティブ所属。
    http://www.oursongs-creative.jp/profile/hyunri/

  • 取材・文:森 綾

    大阪市生まれ。スポニチ大阪文化部記者、FM802開局時の編成部員を経て、92年に上京後、現在に至るまで1500人以上の有名人のインタビューを手がける。自著には『マルイチ』(マガジンハウス)、『キティの涙』(集英社)(台湾版は『KITTY的眼涙』布克文化)など、女性の生き方についてのノンフィクション、エッセイが多い。タレント本のプロデュースも多く、ゲッターズ飯田の『ボーダーを着る女は95%モテない』『チョココロネが好きな女は95%エロい』(マガジンハウス)がヒット中。
    ブログ「森綾のおとなあやや日記」 http://blogs.yahoo.co.jp/dtjwy810

ヘアメイク:茂手山貴子 http://moteyama.com/
撮影協力:SYNERGY http://www.synergycenter.jp
撮影:萩庭桂太