乳房同時再建の喜び
藤森香衣
- Magazine ID: 1274
- Posted: 2013.06.12
乳房を切除した後の平らな胸に与えられる、救いの治療。それは形成外科的に乳房を再生するというものだった。
「もちろん、乳房再生には保険はききません。だいたい、100~150万円かかります。でもその後の仕事のこともありますし、ここはそうするしかないと思いました。」
乳房再生は、切除した後、筋肉の下に「エキスパンダー」と呼ばれる風船のようなものを入れ、そこに生理食塩水を徐々に注入。皮膚の伸びるのを待って、数カ月後に食塩水をシリコンに入れ替えるという方法で可能なのだという。
「術後に目覚めた瞬間も胸はありますよ、と言われたときはちょっと嬉しかったですね」
そして本当に、術後、彼女には次の乳房があったのだ。
「喪失感がない、っていうのは本当にありがたいことでした。乳がんになった人全員ができることではありませんが。それだけでも幸運だったと思います」
筋肉の下に入れるので術後の傷みはかなりある。寝返りが打てるまでには3週間かかった。
「こんなにきれいにしてもらえて、それが本当に嬉しい。前向きになれました」
数カ月かけて形を整え、仕上げに乳首を作るのだという。
「37年間、私と一緒に生きてきた右胸とはお別れしましたけどね。でもきれいになって、この夏はビキニを着たいです」
新しい胸はちょっと自慢したいくらい、なのだ。
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出演:藤森香衣
モデル。1976年東京都生まれ。11歳からモデルを始め、広告、CM、テレビを中心に活動。CM出演は70本を超える。テンカラット・プリューム所属。
http://tencarat-plume.jp/models/details/hujimorikae.shtml
藤森香衣オフィシャルブログ「白花の薫り」
http://ameblo.jp/kae-fujimori/day-20130404.html -
取材・文:森 綾
大阪市生まれ。スポニチ大阪文化部記者、FM802開局時の編成部員を経て、92年に上京後、現在に至るまで1500人以上の有名人のインタビューを手がける。自著には『マルイチ』(マガジンハウス)、『キティの涙』(集英社)(台湾版は『KITTY的眼涙』布克文化)など、女性の生き方についてのノンフィクション、エッセイが多い。タレント本のプロデュースも多く、ゲッターズ飯田の『ボーダーを着る女は95%モテない』『チョココロネが好きな女は95%エロい』(マガジンハウス)がヒット中。
ブログ「森綾のおとなあやや日記」 http://blogs.yahoo.co.jp/dtjwy810
リング:27.Allen(ヴァンセット・アレン) http://www.27allen.com
撮影:萩庭桂太