大貫勇輔はいつダンスが好きになったのか。母親に尋ねてみると「意外と最近なんじゃないですか」という。本人に聞いてみると、「ストリート・ダンスに憧れたのは中1の頃で、自主的に練習を始めました。中3のときに外のヒップホップダンスのレッスンに通い始めたのかな。高1でモダンダンスのスタジオにも通い始め、高2で現代舞踊協会の舞台に初めて立ちました。その頃、高校にダンス部をつくったり、行事が大好きなんで『向志園』っていう体育館を貸し切った歌ありダンスありのイベントも主宰しました。街のクラブでのダンス・イベントもしましたね。高校の卒業式に出ないで先輩ダンサーである森山開次さんとご一緒させて頂いた舞台『草月流80周年記念式典』に出してもらったのがプロとしてのデビューです」

　じゃあ、中1でダンスに目覚めたと？

「目覚めたのはそのあたりかな。でもぼく、本当の意味でプロという意識が目覚めたのは、ついここ1年くらいだと思います。『キャバレー』のときですね」

　ミュージカルの演出家、小池修一郎氏に見いだされ『ロミオ＆ジュリエット』のメイン・ダンサーとして出演した後、藤原紀香が主演する『キャバレー』で彼女の相手役に大抜擢されたのだ。

「紀香さんのプロ意識には教えられることが多かったです。スターというのは何かを成すために時として無理も言うんだ、とわかった。意味付け、本気の取り組みがあって、その意志が通され、形が出来上がる。ひとつの作品に挑む覚悟のようなものを教えて頂きました」