「主婦というリアリティ」への抵抗
東麻美
- Magazine ID: 1204
- Posted: 2013.01.24

山形から月に2回上京して、仕事をする。新しいモデル事務所に所属し、ここ1年半くらいはオーディションにもよく受かるようになった。
「結婚してからのほうが安心して仕事に行ける感じです。オンとオフの切り替えがあるのがいいのかな。年齢的に使いやすいのかな。それとも月2回上京するための交通費を稼ぐぞという必死さがいいのかな(笑)」
幸せに主婦をしているというリアリティも、きっとうけている理由なのだろう。私もよく女性誌で仕事をしているが、登場するモデルやタレントの見た目に「幸せ感」があるとかないとか、議論になったりするものである。
今の麻美さんにはそれがあるのだ。
「主婦というリアリティですか。実はあんまりそのイメージにははまりたくないんです。それでね……」
長い髪を少しあげて見せると、短く切った前髪が登場した。
「結婚前にキューピーのCFに出させてもらったんですけど、その時に監督に私を選んでくださった決め手を聞いたら『その前髪がよかった』とおっしゃったんです。それで、個性を出すにはいいかなと思って。私、背も高くないし、クールビューティーって感じでもないから難しいんですけど、本当はモードな仕事をやってみたいんです」
抵抗がある、というのは面白いことだと思った。「抵抗」とか「不安」とか「不可能」とか。ネガティブなことから始まって表現したい事が生まれる。なかでも「抵抗」というのは一番青い感じがする。彼女の魅力はそんなところにもあるのだと思う。
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出演:東麻美
1982年埼玉県生まれ。21歳からモデルの道へ。27歳で結婚、山形へ移住、現在に至る。ミセス、Domani など女性誌のほか、大塚製薬、マツダ、ダノンビオ、キューピーなどのテレビCFにも多数登場する。
http://www.okazaki-models.co.jp/models/AsamiHigashi/
http://ameblo.jp/asami-higashi/ -
取材・文:森 綾
大阪市生まれ。スポニチ大阪文化部記者、FM802開局時の編成部員を経て、92年に上京後、現在に至るまで1500人以上の有名人のインタビューを手がける。自著には『マルイチ』(マガジンハウス)、『キティの涙』(集英社)(台湾版は『KITTY的眼涙』布克文化)など、女性の生き方についてのノンフィクション、エッセイが多い。タレント本のプロデュースも多く、ゲッターズ飯田の『ボーダーを着る女は95%モテない』『チョココロネが好きな女は95%エロい』(マガジンハウス)がヒット中。
ブログ「森綾のおとなあやや日記」 http://blogs.yahoo.co.jp/dtjwy810
ヘアメイク:茂手山貴子 http://www.facebook.com/pages/茂手山貴子/193855654092129
撮影:萩庭桂太