Jリーグで山形のチームといえばモンテディオ山形である。で、旦那さんはなんていう名前なの？　と単刀直入に聴いてみたら、小林さんと言うらしい。検索してみたら出て来た。小林亮さん。いったいJリーガーとどこで知り合って結婚したのだろう。

「高校の同級生だったんです。友達でもなんでもなかったんですが（笑）。サッカー部だというのは知っていて、たまたま26歳のときに、同級生の結婚式の2次会があって、そこでちゃんと話せたというか。浦和にいるうちの母親から『小林くん、頑張ってるよ。同級生でしょ。たまにはテレビ、見てあげたら』みたいなことを言われていたんですが」

「彼、かっこよくなってたんだー」とどうでもいいやと思いながらもふってみると、麻美ちゃんは、うん、とあまりにも素直に大きくうなずいた。

「高校時代の印象は『いい人』なだけで、割と地味だったんですよ。スポーツクラスの人は主張の強い感じの人が多かったんだけど、その中で一歩引いた印象のある人でした。でもそこは変わらず、いい感じに大人になっていました。サッカー選手で派手なイメージがあるけど、地味なところは変わっていませんでした」

　先輩夫婦に見習い、栄養に気をつけて食事を作ろうと「アスリート・フード・マイスター」なる資格も取った。

「最初は料理のことばかり考えていました。何をどうすればいいのかもわからなかったので。でも習ってみたらわりと普通のことでした。たんぱく質は動物性と植物性を両方取り入れるとか、試合前は炭水化物を増やすとか。割と小食な人なので、毎週末、どう炭水化物を取らせるかが課題なんです」

　真面目なんだろうなと思った。結婚は人間が若くてまっすぐなうちにするのが一番である、と、今年四十ウン歳になる私は思った。

「彼に何を食べたい？　と聞くと、餃子かカレーと答えるんです。いつもそれってどうなのよ、と。他にはと聞くと、グリーンカレー、と言うんですよ（笑）。私のつくるものは全部美味しいと言うけど、言っときゃいいと思ってるんでしょうね」

　ハイ、ごちそうさま。