来春公開の高松琴平電気鉄道開通100周年記念映画『百年の時計』(金子修介監督)では、高松にロケで3週間ほど滞在した。

「1日ワンシーンとかっていうのんびりしたスケジュールだったので、ホテルで借りた自転車に乗ってあちこちふらふらしていました。楽しかったですね。私、山の中に取り残されても生き残って1人で帰ってくるようなところがあるから。山で生まれたから、今、そういうふうに元のキャラクターに戻されてるのかも」

 もっと女優になろう、という努力は続く。

「いろんな仕事をやらせてもらっていますが、歌も、演技も、奥深い。私、勉強が嫌いでこの世界に入ったけど、この仕事の責任感っていうのは心地いいんです。気を張ってやっています。集団でやる作業でもあるけれど、個人としても主張できるし。これからは役の幅を広げて、ぶっとんだ役をやっていきたい」

 これ以上、ぶっとんだ役ってどんな役なんだろう。

「人間じゃないとか(笑)」

 そんな可愛い顔して何を言うのだろう。モテるでしょ、と言うとクビを振った。

「でも好きな人がいないと張り切れない。好きなタイプ? フィーリングが合えば。強いて言えば、ホームベース型の顔の人が好きです。草食系よりはオレについて来い、的な」

 結婚願望もある。じゃ、今彼氏はいるの、と聞くと、にまっと笑って上目使いになった。

「……いないという、テイでお願いします」

 大人なのか、子どもなのか、まったくわからない位置にいるところ。一瞬一瞬を命がけで演じているのに、後をひかないところ。ふわふわとつかみどころがなく見えて、しっかり存在を見せるところ。この人の相反するところが、とても面白い。こういう生き方こそ、心が折れないんじゃないかなと思わせてくれるのだった。

  • 出演:岩田さゆり

    1990年静岡県生まれ。A型。04年にティーン向けファッション誌の読者モデルオーディションで準グランプリとなり、芸能界へ。『3年B組金八先生』で女優でビュー。その後、大河ドラマ『平清盛』への出演など、多くの人気ドラマ、映画に出演。
    http://www.spacecraft.co.jp/iwatasayuri/

  • 取材・文:森 綾

    大阪市生まれ。スポニチ大阪文化部記者、FM802開局時の編成部員を経て、92年に上京後、現在に至るまで1500人以上の有名人のインタビューを手がける。自著には『マルイチ』(マガジンハウス)、『キティの涙』(集英社)(台湾版は『KITTY的眼涙』布克文化)など、女性の生き方についてのノンフィクション、エッセイが多い。タレント本のプロデュースも多く、ゲッターズ飯田の『ボーダーを着る女は95%モテない』『チョココロネが好きな女は95%エロい』(マガジンハウス)がヒット中。
    ブログ「森綾のおとなあやや日記」 http://blogs.yahoo.co.jp/dtjwy810

ヘアメイク:河西幸司 http://www.uppercrust-2005.com
衣装&撮影協力:ORIHIKA 二子玉川ライズ・ショッピングセンター店
東京都世田谷区玉川2丁目21番1号 二子玉川ライズ・ショッピングセンター リバーフロント4F Tel:03-5797-5888 http://www.orihica.com

撮影:萩庭桂太