楽しいんだか辛いんだか
笹本玲奈
- Magazine ID: 1125
- Posted: 2012.08.21
約束の時間に到着すると、撮影はほぼ終わりかけていた。
165センチとはいうものの、舞台女優らしく、すっくと立つ姿はとても存在感があり、大きく見える。14年前は5代目ピーターパンだったと聞いていたが、今の女性らしい体つきからは想像がつかない。
「そうですね。10代のときは身長158センチで、体も真っ平らで、子どもっぽかったですからね。一昨年、8年ぶりに『ピーターパン』をダブルキャストでやらせてもらったんですが、さすがに違和感がありましたね(笑)。ピーターパンはピーターパンに近い年齢の人がやるほうがいいなと思うと、せつなくなりました」
当時は、舞台で演じることが楽しいか辛いかも、よくわからなかったという。
「小さい頃から遊びでミュージカルごっこをしたりはしていたんですけどね。初めての『ピーターパン』の年、フック船長役が古田新太さんだったので、お父さんみたいにいろいろ教えてもらいました。『今の表情、いいよっ』と言われると不思議と心の底から感情が湧き出てきて無我夢中で演じていました。演技ってこうするのかな、と考え出すとつくった感じになってしまう。演じるというより、その人物を生きなきゃいけない。それは今でも苦労しています」
早くから演じることの難しさと面白さを全身で感じてきた人のようだ。
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出演:笹本玲奈
1985年千葉県生まれ。O型、ふたご座。バレエ、タップ、ジャズとダンスは大好き。98年史上最年少でミュージカル『ピーターパン』主演デビュー。07年に菊田一夫演劇賞、08年に第15回読売演劇大賞優秀女優賞、および杉村春子賞受賞。現在、全国11都市で公演の『ミス・サイゴン』にキム役で出演中。
http://fc.renasasamoto.jp/ -
取材・文:森 綾
1964年8月21日大阪市生まれ。スポニチ大阪文化部記者、FM802開局時の編成部員を経て、92年に上京後、現在に至るまで1200人以上の有名人のインタビューを手がける。自著には女性の生き方についてのノンフィクションが多い。『キティの涙』(集英社)の台湾版は『KITTY的眼涙』(布克文化)の書名で現在ベストセラー中。
http://blogs.yahoo.co.jp/dtjwy810
撮影:萩庭桂太