『ピーターパン』はブロードウェイ・ミュージカルの日本版。榊原郁恵が7年間、笹本玲奈が5年間主役を務め、今年6年目を務める高畑充希は歴代2番目のロングランである。

「2年間くらいは勢いでいけてました。いや、本当はいけてなかったんですよ(笑)。3年前くらいからは前年を超えるものを演じることが当たり前だと思うようになってきました。頭で考えて技術を学んで。でもそうすると、本能でがーっと動いてた頃のほうがよかったのかもと思えてきたり。座長感というのをどういうふうに出せばいいんだろうとも考えたりします」

 20歳の女座長は懸命だ。

「だけど、ピーターをやっていると無敵な感じがするんです。女の子を何人か落とせる気がする(笑)。ちょっとモテ男を意識した台詞とかがあって、そこが面白いんです。ウェンディ2人をどう落とすかというところかなと」

 都内某所で行われた舞台稽古を見せていただいた。たぶん、彼女が言っていたのはこの台詞だろう。

ウェンディ「私のことをなんだと思ってるの?」

ピーターパン「大事な……、おかあさんだよ」

ウェンディ「何よ、それ」

ピーターパン 「あれ? どうしたの。ティンクも同じことを言うと怒るんだ。いったい、ぼくの何になりたいんだろうね」

 高畑充希はピーターパンに怒った。

「計算だったら、ヤな男ですよねえ。自覚のないチャラ男です」

 だがこういう風に見れば『ピーターパン』は大人も十分楽しめる、本物の演劇。そして派手なアクションあり、美しい歌ありで飽きることのない、すんなり盛り上がれるブロードウェイ・ミュージカルなのである。

  • 出演:高畑充希

    1991年大阪府生まれ。AB型。山口百恵トリビュートミュージカル『プレイバックpart2~屋上の天使』主役オーディションでグランプリ。2005年12月にデビュー。数々の舞台でヒロインを務め、ドラマ、映画にも出演。声優、歌手としても活躍。7月20日から東京国際フォーラムで始まる『ピーターパン』で6年目の座長をつとめる。11月18日からは東京・青山劇場『アリス・イン・ワンダーランド』にも出演。ホリプロ所属。

    ミュージカル『ピーターパン』2012公式サイト
    http://hpot.jp/peter/top.html

  • 取材・文:森 綾

    1964年8月21日大阪市生まれ。スポニチ大阪文化部記者、FM802開局時の編成部員を経て、92年に上京後、現在に至るまで1200人以上の有名人のインタビューを手がける。自著には女性の生き方についてのノンフィクションが多い。『キティの涙』(集英社)の台湾版は『KITTY的眼涙』(布克文化)の書名で現在ベストセラー中。
    http://blogs.yahoo.co.jp/dtjwy810

撮影:萩庭桂太